アップリンクの訴訟に考える
先日、映画会社アップリンクの浅井隆社長が元従業員にパワハラで提訴された。その日のうちにHPに謝罪の告知が出て、昨日は「謝罪と今後の対応について」が発表された。私は浅井氏と面識はあるが、特に親しくはない。
それでもこの事件は考えさせられた。浅井氏は33年前に1人で渋谷で映画館を立ち上げ、2年前に吉祥寺、先日は京都とシネコンをオープンさせた。普通に考えたら「個人商店が急成長した時に出たひずみ」ということだろう。映画界には社長がすべてを采配する10人以内の配給会社や宣伝会社が無数にあるが、会社によってはこうしたパワハラもあると思う。
別に映画界に限らず、創業者の社長が仕切る「個人商店」ではこんなことはよくあることかもしれない。普通はパワハラは表に出ないで社員は去ってゆく。仮に訴えても社会的な話題になりにくい。ところが映画界は社会的なインパクトというか知名度が大きいので、売り上げは小さくてもニュースになりやすい。
そんなこともあって、映画界ではこうしたパワハラはあまり表沙汰にしない。それに名前を出して訴訟をすれば、今後映画界で働けなくなってしまう。それほど小さな村社会だ。元従業員の記者会見でも、次に勤めた映画会社で契約の延長ができなかったことが触れられていた。
とにかく、勇気を持って訴訟をした元従業員たちがいてよかったと思う。これによってアップリンクは一挙に「民主化」が進むだろうし、ほかの映画界の個人商店の社長も、「明日は我が身」と考え方を改めるだろうから。大きな映画会社でも、ある部署で強大な権力を振るうボスはみんな反省しているのではないか。
関係ないが、私も反省した。一番は新聞社時代に何度か部下を怒鳴ったことだ。たぶん2000年頃だが、「おまえは何年社員をやっているのか、こんな常識もわからないなら辞めてしまえ」と若手社員に言ったこともある。もちろん周囲はシンとしたが、その時の雰囲気を今でも克明に思い出す。
大学に移ってからはもちろん「辞めてしまえ」とは言わないが、最初の頃はつい言い過ぎたこともあった。今は卒業したそれらの学生の顔を思い出す。今ではかなりマイルドになったはずだが、それでも学生に不当な「圧力」をかけているかもしれない。そんなこんなで、結局は自分が一番反省している。
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