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2020年6月23日 (火)

コロナ禍で何が変わったか:その(23)新しい生活様式

緊急事態宣言が解除されたあたりから「新しい生活様式」という言葉が流通し始めた。確か、専門家会議の先生から出た言葉だと思う。あまのじゃくの私は、「生活」まで指導されたくないと反発したが、先日の朝日新聞で大塚英志さんがインタビューで答えていた内容がおもしろかった。

最初は新聞で読んだが、ネット版の方が長くて論点がはっきりしている。大塚氏は戦時中の大政翼賛会が推進した「新生活体制」にそっくりだと思ったという。

「『新しい生活様式』という言葉を聞いた時、僕はこの『新生活体制』を思い出し、とても不快でした。それは、言葉の上の類似だけでなく、日々報じられたニュースが奇妙に重なり合うからです。ホームセンターの家庭菜園コーナーが人気になったというニュースがありましたが、戦時下、奨励されたのは家庭菜園でした。東京都が断捨離の動画を配信しましたが、戦時中は不用品の整理を説く自治体もありました。」

要は生活や道徳を国が説くようになると怖い、という話。そしてその前には「自粛」運動があったというから背筋が寒くなる。

「そもそも『新生活体制』が説かれるのは1940年の翼賛会発足に合わせてです。翌年が日米開戦です。しかし、それより前、1937年の日中戦争をきっかけに行われたのが『自粛』です。対象になったのは、まずは『パーマネント』、それから女性が接客する『カフェ』でした。」

つまり「自粛」から「新しい生活へ」という流れで、これは確かに今の日本に当てはまる。営業自粛要請の時に開いている居酒屋やパチンコ屋を告発する動きがあった。そのうえ感染者の「夜の街」関係という発表の仕方も、いかにもそれらしい。ネット社会によって相互監視はより強くなったかもしれない。

最近の芸能人の不倫をめぐるネット上の盛り上がりを見ると(本当はよく知らないが)、昔よりも何倍も「道徳」が語られるようになったと思う。面と向かっては非難すると「お前が言うか」となるが、ネット上だと自分は棚に上げて誰でも何でも言える。

大塚氏に戻ると、最後の言葉がよかった。「これで時代が変わった」「これからは新しい時代だ」と言うのは控えようと思う。

「僕は『ポストコロナの世界』を論じようとする人を信用していません。問題点が露呈してより悪い世界は確実にきますが、それはコロナがあろうがなかろうがやってくるはずの世界です。何かをチャラにした『新しい世界』なんて来ません。この20年を振り返ったって、『3・11後の世界』とか『9・11後の世界』とか、何回も『これで世界が変わった』『これから来る新しい世界のことを論じよう』と、くり返してきたでしょう。今回だって、きっと、同じ顔ぶれが『コロナ後の世界』を冗舌に語るでしょう。」

 

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