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2020年6月 6日 (土)

再開した美術館に行く:東京都庭園美術館

最後に行った美術館・博物館は、たぶん3月29日の開館直後のアーティゾン美術館。2月末に国立の美術館・博物館が閉じてもやっていた。それから2カ月以上たってようやく再開したので、どこに行こうかと考えた。

展覧会名を見比べて、「見たいな」と思ったのが白金の東京都庭園美術館の「東京モダン生活(ライフ) 東京都コレクションに見る1930年代」。実は2008年末に同じ美術館で「1930年代・東京」展が開かれた時、美術記者だった私は担当学芸員に取材して記事を書いた。

その展覧会の再現かと思って出かけたが、だいぶ違った。当時は新館はなかったので、本館に全国から集めた200点前後の作品が並んでいた。今回は本館には一切作品を置かず、アールデコの旧朝香宮邸の建物や装飾そのものを見る展覧会になっていた。

確かに純粋な形で装飾のディテールを見るのは楽しいが、正直に言うと2年前の改装以来、見飽きている。美術館で静かな時間を過ごすという点ではいいのだけれど。これだけかと思ったら、奥の新館ではさすがに普通の展示があった。といっても300平米くらいに50点弱か(展示リストもない!)。

東京都現代美術館、東京都写真美術館、江戸東京博物館などの作品で構成されていて、まさに「東京都コレクション」ではある。興味深かったのは、1923年の関東大震災からの復興で「モダン都市東京」が生まれたという視点で、その象徴が1926年にできた「東京府美術館」(今の東京都美術館)だった。

その堂々とした写真を見ると、その建物が京都市美術館のように保存されなかったのが残念に思えてならない。そして1933年にできた朝香宮邸(今のこの美術館)もその延長線上にあった。もちろんこちらは「帝冠様式」ではなく、パリ直伝のアール・デコだが。展覧会では絵画や写真や絵本などで、当時のモダン東京やそこを闊歩する人々を見せる。

それは1937年の日中戦争まで続いた、大正末期から昭和初期の「東京の一番カッコいい」時期だったのだと思う。新館から広い庭に出て歩いても、優雅な気分は続く。そして外から見る旧浅香邸は中のディテール以上に見とれてしまう。

そういう意味では、貴重な時間を過ごすことができた。それでも最後に小言を一つ。本館2階に朝香宮を撮った当時の映像があったが、スタンダード画面をワイドで見せるのはいけない。複数の映像の出所も明記せず、長さも書かれていない。これは美術館としてはあってはならない。

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