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2020年6月 7日 (日)

なぜか『BUTTER バター』を読む

柚木麻子の小説『BUTTER バター』を読んだ。彼女の小説は『私にふさわしいホテル』がかなりおもしろかったが、今回買ったのは本屋でパラパラめくったら、主人公が出版社勤務の女性だったから。それも神楽坂駅そばの「秀明社」。

もちろん新潮社が想定されている。というか、この本は新潮社から出ているから、一種のサービスかもしれない。私は最近この出版社から『美術展の不都合な真実』という本を出したので、主人公が30代の女性編集者と聞いて、自分の担当者を思い浮かべた。

この小説の主人公、町田里佳は「週刊秀明」(=週刊新潮?)の記者だからちょっと違う。彼女は連続殺人事件の被告・梶井真奈子(カジマナ)の連続インタビューを取るために、手紙を書き、東京拘置所に通う。ようやく会ってもらえたが、里佳はカジマナと会ううちにだんだん影響を受けてゆく。

読み始めてわかったが、カジマナは2008年に起きた連続殺人事件を起こした木嶋佳苗のことだった。何人も愛人を作って次々に殺した女性だったが、かなり太っていてお世辞にも美人とは言い難かったため、当時強烈な印象を残した。今は死刑囚のはず。

里佳はカジマナに教わった通りに高級バターを買って料理を始め、高級レストランに行く。彼女には社内に恋人がいるが、どんどん太ってゆく彼女に驚く。里佳の大学時代からの親友の玲子は結婚して幸せな生活を送っていたが、カジマナにはまる友人を見ているうちに自分も会いたくなる。

実は途中までは少し退屈だなと思って読んでいた。ところがカジマナの実家を訪れる里佳に玲子が強引についてきたあたりから調子が変わる。玲子の方がおかしくなっていた。そして玲子は失踪し、何と玲子の語りで物語が進む。彼女はカジマナの昔の男を訪ねていた。

里佳の連続インタビューは大当たりするが、それはカジマナが獄中結婚する男性によって非難される。それでも最後は何となく大団円というか、みんあが揃ってハッピーエンド。だから何だという気もするが、女性同士の恋愛に似た濃い友情など私が普段知らない世界を十分に味合わせてくれた。

最近あまり小説を読んでいないせいか、コロナ明けには刺激が強かった。

 

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