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2020年6月13日 (土)

配信で映画を見る:その(4)『Passion』

コロナ禍の影響で、ユーチューブやアップリンククラウドなどで映画を配信で見ることが増えた。ここにも最近3回書いたので、急にシリーズ化して今回は(4)とすることに。なぜなら「サンクスシアター」を見始めたら、もっと見そうだから。

「サンクスシアター」を見られるのはコロナ禍で始まった「ミニシアター・エイド基金」に寄付をしたから。大学の教師となると、口ではミニシアターに行けというがこんな時に応援していないじゃないか、と言われそうだし、それ以上に自分自身がミニシアターにこの30年以上お世話になったから、1万円寄付をした。

正確には「寄付」ではない。「サンクスシアター」という配信で約200本のうちから8本が見られるし、選んだミニシアターで2回無料で見ることができる。寄付だと税金の控除が受けられるが、このように「見返り」があったら無理だ。これで1万円なら特に高いわけでもない。

私が1万円を払った時点では、配信で見られる映画は50本ほどだったと思う。私は2か月前は配信は嫌いだったので、これは劇場2回分で配信は見なくても「感謝の意味を込めて」だと思っていた。さて数日前に「サンクスシアターが始まりました」と通知が来て、初めてリストを見た。

おおむね、若手監督の自主製作作品が多い。深田晃司や濱口竜介など、今回のミニシアター・エイド基金で中心的な役割を果たした監督の初期作品はもちろん含まれている。これはおもしろそうだと、急に真面目に選び始めた。

一番最初に見たのは、濱口竜介監督の『Passion』(2008)。東京芸大の修士の卒制だが東京フィルメックスでも上映されて話題になった。今回ようやく見て、そのレベルの高さに目を剝いた。115分でプロの俳優を使っており、会話のシーンの切迫感は『ハッピーアワー』や『寝ても、醒めても』にも劣らない。

最初に30歳前後の男女がレストランに集まるあたりは、そのインテリ風の会話に少し引いたが、だんだんと視線劇が始まる。女3人は帰り、男3人は別の女(たかこ)の家に行く。そこにたかこの叔母のはながやってきて、男の1人・たけし(渋川清彦)と仲良くなる。

結局は男3人、女5人が繰り広げる愛憎劇で、見ていてどんどんいたたまれなくなる。途中で挟み込まれる、女の1人・かほ(河井青葉)が授業で中学生に暴力の話をしている場面や、婚約相手のともや(岡本竜汰)と共に母親に婚約を告げると、母がともやに「あなたは信用できない」と言う場面も一瞬も気を抜けない。

終盤、ともやがたかこと会いに行き、かほは自分を好きなけんじ(岡部尚)と早朝に歩くシーンがある。工場の煙だけが映って声だけが聞こえるシーンから、2人が少しずつ見えてくる。キスをすると、後ろで真っ赤なトラックが大きく回って走り去る。すばらしいとしかいいようがない。

世の中は再開に向けて動いているが、私はしばらく「サンクスシアター」に閉じこもりそうだ。

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