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2020年6月24日 (水)

なぜか『ストーリー・オブ・マイライフ』を見る

『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』を劇場で見た。私は「若草物語」を読んだこともないし、その映画化も1本も見ていない。しかし『レディ・バード』という洒落た映画を監督したグレタ・ガーウィグが再びシアーシャ・ローナンを主演で撮ったというので、興味が湧いた。

それでも最初は面食らった。そもそも私に姉妹愛などわかるはずがない。そのうえ、ある種の回想の形で物語はいくつもの時間を絶えず行き来する。あれ、死んだはずのベスがまだ生きている、などと思いながら見ていたが、途中からどんどん盛り上がった。

映画は、作家志望のジョー・マーチ(シアーシャ・ローナン)が出版社に原稿を持ち込むところから始まる。あくまで友人の代理として。彼女には結婚して子供のいる姉のメグ(エマ・ワトソン)、ピアニスト志望で病弱なベス、画家志望で叔母についてパリに行ったエイミーがいる。

一見意地悪だが人生の本質を見ぬく発言をする裕福な叔母はメリル・ストリープ、南北戦争に行った父なき4人姉妹を支える母はローラ・ダーンと豪華な脇役が揃う。さらに近所に住み、ジョ―を好きになるがエイミーと結婚してしまう青年がティモシー・シャラメだし、ニューヨークでジョ―が出会う若者はフランスのルイ・ガレルと当代のハンサムが揃う。

考えてみたら、メグは演劇、ジョーは文学、エイミーは美術、ベスは音楽とみんな芸術家志望。「若草物語」の読者なら当たり前のことだろうが、私はそこに現代的ななものを見た。さらにみんな結婚すべきか迷う。するなら金持ちがいいか、そうでなくても誠実な男を選ぶか。あるいは自分の力で生きていくべきか。これまた今もある話。

とりわけジョーは何度も「一生結婚する気はない」と言い放ち、ティモシー・シャラメ演じる幼馴染のローリーのプロポーズを断るが、それでも悩みに悩む。その一方で出版社との著作権交渉も自分で堂々とやる。そうなると恋と仕事に悩む今風の女の子映画に見えてくる。

目まぐるしい時間の交差にも後半は慣れてきて、父親が戦争から帰ってくるシーンには思わず涙が出てしまう。そのほかにも後半はじんと来る場面が巧みに仕込まれている。それやこれやで幸せな気分になった。

考えてみたら私には4人の姉がいたが、昭和の日本の田舎にはこんな幸せなというか、高級な雰囲気はおよそなかったように思う。

 

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映画」カテゴリの記事

コメント

手垢がついたような?名作小説(笑)を、蘇らせた、グレタ・ガーウィグに脱帽!です。

現在公開中の映画で1本選べと言われたら、躊躇なく今作を推します!

投稿: onscreen | 2020年6月24日 (水) 08時27分

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