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2020年7月31日 (金)

オンライン授業でわかったこと:その(7)オンライン試験

私の場合、昨日で前期の授業が終わった。連休明けからオンライン授業を始めて3カ月近く、何とか切り抜けた。大人数の講義授業では「オンライン試験」もやってみたが、どうにかうまくいった。

「オンライン試験」のポイントは学生がすべての資料を見ることができること。通常ならば授業で使うパワーポイントも学生にはアクセスできないが、オンライン授業だと通信環境の悪い学生を考慮して、PDFでネットにアップする。オンライン試験だと学生はそれを自由に見ることができる。

オンライン授業のために今年のみ配布した参考書も、自分のノートも試験の最中に何でも見ることができる。さてどういう問題を出すのか。普通の試験だと半分近くを選択式にして、基本的な知識を身につけているかを試すが、今回はそれはできない。誰かと同じ部屋で試験を受けることも、試験中に解答をラインで友人に送ることも可能だし。

そこで論述式にして大きな骨格の問題を出した。あるいは映像のリンクを示して「この映像の映画史的意味について述べよ」といった類の問題を出した。かつ時間に比して問題の量を多くした。そうすればパワポや参考書を探していたら、書く時間がなくなってしまう。問題は助手に手伝ってもらってグーグル・フォームの形にして出した。こうすれば、全回答をエクセルの形で見ることができる。

まず、一番驚いたのは、さまざまな理由で「受けられない」という学生がほとんどいなかったこと。普通の試験だと100人で2、3人は「祖母がなくなった」「昨晩から熱が出た」「電車が大幅に遅れた」などの理由で受けられない学生が出てくる。本当かどうか怪しいが、とにかく証明書を出してもらい、再試をする。

今回は、テレビや映画で女優として活躍中で、試験日が映画の撮影と重なった女子1名を除いて、何と1人も「受けられない」学生がいなかった。やはり電車に乗って受けに行くことが抵抗が大きいのだろう。その反面、今回2、3人いたのが「ログインできない」「回答を送ろうとして書いたものを消してしまった」という技術的なトラブル。

結局、再試はやることになったので同じだが、オンライン試験も悪くないと思った。解答用紙を見始めているが、ちゃんと差も出ている。オンライン授業で出席確認だけ送って、実はゲームをしていたような学生は、たぶん書けていない。

試験をやらない少人数の授業は、レポートや平常点で点数をつける。こちらはいつもと変わらない。このままだと後期も大半がオンライン授業になりそうだが、どうにかなりそうなメドは立った気がする。それにしても、これからオンライン試験の採点をするのが憂鬱。いつもは選択式の部分は助手に頼めるが、今回は1人で数日かけてひたすら回答を読む。

 

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