オンライン授業でわかったこと:その(6)2か月がたって
最初は不安で仕方がなかったオンライン授業も、2カ月が過ぎた。先生同士はめったに会わないのでほかの先生がどんな授業をやっているか実はわからないが、少なくとも自分のやり方はある程度定着してきた。
基本はグーグルのMeetでのリアルタイム授業。映像は長いものはユーチューブかアマゾンプライムにあるものを選んで事前に見ておくよう指示する。そして授業中にそれについての文章を100字程度で書かせて、それを出席確認とする。
通常だと少人数授業は声を出して出席を取る。200人などの大人数は出席カードを配る。オンライン授業ではそれはできないので、オンライン上でグーグルフォームの形の出席確認を出してもらう。そこにはミニ課題があって、見てきた映画や授業の内容について書いてもらう。
学生のミニ課題は、教師はたちどころにエクセルの形で読むことができる。それを読みながら「田中さんいますか?あなたは『晩春』は結婚を娘に強いるひどい話だと書いていますが、もう少し説明してください」と指す。「できたら顔を出してください」と言うとだいたい顔を出して話す。「今の考えについて反論はありますか」と言うと、声を出す学生もいれば、チャットに書く学生もいる。
教師は画面共有している自分のパワポの説明画面とMeetの学生の顔を交互に見て声を聞きながら、送られてくるチャットにも目を通す。短い映像だと、授業中にチャットでユーチューブや世界中の映像アーカイブのリンクを送って見てもらう。まるで自分が曲芸師のように思えてくる。いわばネット芸人である。
残念なのは、学生の表情というか全体の雰囲気がわからないこと。「これはすごい」と興奮したり退屈したりという様子がさっぱりわからない。手ごたえが感じられないというか。「せっかく見つけてきたすごい映像なのに」と思っても、その反応を空気で感じることができない。
さておかしな話だが、これをやるのに毎回大学に行っている。一番の理由は研究室にある本をコピーしてスキャンし、授業のサイトにアップするため。一時期は図書館も閉鎖されたため、課題を出して「図書館で調べなさい」と言うことができなくなってしまった。今は学生は予約制で図書館も使えるが、資料のアップは続けている。
それ以上に大学に行くと同僚とも会うし、電車に乗ればデパートや本屋にも寄るからいい。帰りに映画を見て帰るのも気持ちがいい。何より大学に行くだけで、いい運動になる。そんなこんなでオンライン授業もあと1か月となった。
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