プラスチックの時代に
たぶん今世紀になってからだが、一戸建ての壁がずいぶん安っぽくなった。プラスチックのような新素材に木目やレンガの模様があるが、どう見ても本物には見えない。触ってみると、やはりセメントや土の素材感もない。
見た目で言えば、昔の木造モルタル、つまり木にセメントを吹きつけるタイプの方がずっといい。これは昭和な感じだが、触ってもセメントだから気持ちがいい。おそらく問題は亀裂が生じることだろうが(そういう家はよくある)、それは修理ができるのでは。
私はマンションや戸建ての工事現場を見るのが好きだ。マンションは最初は地下に深く掘って鉄骨を埋めたりおもしろいが、途中からすべて覆いが被さって見えなくなる。戸建ては最後まで見えるが、トラックで新素材の壁を持ってきて、パカパカとはめ込んでいるのを見るとがっかりする。
最近ではタイルやレンガの壁やブロック塀も少なくなった。たぶん地震などで壊れやすいやすいからだろうが、新素材の塀も出てきた。これまた触るとプラスチック感が強く、かつ妙な自然模様入りで気持ち悪い。タイルの焼き物らしさやレンガの土らしさが好きな私は、新しい家を見るたびにがっかりしている。
最近のニュースでスーパーやコンビニの手提げビニール袋を作っている会社の社長のインタビューがあった。ビニール袋はプラスチック全体の中での割合は少ないのに標的にされたと怒っていた。確かに手提げビニール袋がなくても、野菜でも果物でも魚でも肉でもみんなプラスチックに入っている。
たまに少し高めの肉屋に行くと、木の皮と紙で包んでくれて嬉しくなる。昔は魚屋でもどこもそうだったのだが。そういえば、パリだと野菜や果物は大手スーパーでも量り売りが中心だ。自分で袋に入れて秤に載せて、商品の番号を押すとレシートが出てくる。エコ意識の強いスーパーだとその袋も再生紙で作ってある。
何でもプラスチックに入れて売るのは便利だからだろうが、日本では平成以降に定着したように思う。それは家の外壁の新素材の普及と同じ頃かもしれない。これだけプラスチックの害が言われているのだから何とか元に戻らないかと思うのは、大学生まで昭和に育ったノスタルジーだろうか。
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