トロント型に向かうか、東京国際映画祭:その(2)
設立以来35年たって、突如コンペがなくなった今年の東京国際映画祭はどうなるのか。プレス・リリースによれば「昨年まで実施していた「インターナショナルコンペティション」、アジアの新鋭監督を集めた「アジアの未来」、日本映画の気鋭作品をそろえた「日本映画スプラッシュ」の 3 部門を今年は 1 つの部門に統合、「TOKYO プレミア 2020」と」するらしい。
「TOKYO プレミア 2020」というタイトルが既にダサい気はするが、それは置いておく。これは「ワールド・プレミアやアジアン・プレミアの作品を中心に、内外の個性豊かな監督による新作の披露を観客と共に祝福するショーケース部門」。何のことかわからない。
さらに「日本、アジア、欧米といった地域のバランスは保ちながら、従来のコンペ3部門の選定視点も残し、30 本程度のプログラムを予定。全体のラインナップとしては、全作品が監督のキャリアに関わらずフラットに並び、世界から集まった映画の多様性が持つ面白さを観客に味わってもらうことを目的とします」
これはトロントとも釜山とも違う。どちらもいくつものセクションがあって、観客賞はそれを横断する形で観客が選ぶ。トロントだとGala Presentations とかSpecial PresentationsとかDiscoveryとかMidnight Madnessとか。こうした分類があると、観客としては何を見るかを選ぶ目安になるのだが。
そのうえ気になるのは「地域のバランスは保ちながら」という点。東京国際のコンペの欠点は明らかに世界地図を見ながら選んだような「地域バランス」にあった。どうせ欧米はロクな作品はこないから、アジア部門をなくして思い切ってコンペをアジア中心にしたら、というのが私の提案だったが、また「地域バランス」である。
そのうえ、「本年は上映作品の選定にあたっては、幅広い知見・人脈と多様な価値観を有する外部専門家の協力を頂き、委員会制の合議の下に進めることと致しました」。2000年頃まではディレクターがおらず、まさに「合議制」で決めていたのが批判されてきたのだが。もちろんかつてのように映画会社の合議ではなく、専門家によるものだからずっといいけれど。
そのメンバーは、コンペの矢田部、アジアの石坂両氏とジャパンナウ担当の安藤絋平氏の内部に加えて、市山尚三(映画プロデューサー)、金原由佳(映画ジャーナリスト)、関口裕子(映画ジャーナリスト)の 6 名。女性が2人入ったのはよかったが、それにしても「合議制」だとみんなが好きな作品を4、5本ずつ入れるということになるのでは。
関口さんは私に「日本映画を選んでくれと頼まれた」と語っていたが、せめて誰の推薦かを明らかにしたらどうだろうか。市山氏に関しては「東京フィルメックス」を同時期にやるということなので、これについては後日また書く。
| 固定リンク
「映画」カテゴリの記事
- あっと驚く『シラート』(2026.06.15)
- 『箱の中の羊』の微妙さ(2026.06.11)
- 『霧のごとく』の重さ(2026.06.07)
- 金子修介『無能助監督日記』を読む(2026.06.05)


コメント