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2020年8月28日 (金)

『ふりふら』を見る

三木孝浩監督の『思い、思われ、ふり、ふられ』を劇場で見た。某映画会社に勤める友人が「A級の青春映画」と言っていたから。そうでなければ、私は高校生の恋愛映画はまず見ない。もともと、この監督の映画はたぶん最初の『ソラニン』(2010)以外は見ていない。

最初は、好きになった女の子の母親が自分の父親と再婚して姉弟になったという設定がバカバカしいと思った。由奈(福本莉子)は思い描いていた憧れの男性・理央(北村匠海)が自分と同じマンションに住んでいることを知って、友人の朱里(浜辺美波)に告げるが、実は理央は朱里の同じ年の弟だった。

由奈はそれが理央と朱里の両親が再婚したからだと知るが、さらに理央が以前から朱里を好きで姉弟になったことを悩んでいることを知ってショックを受ける。一方、朱里も実は理央に好意を持っていたが、映画監督を夢見る和臣(赤楚衛二)からのアプローチに揺らぎ始める。

こう書くと本当に少女漫画のようだが、実際に咲坂伊緒の「伝説的人気少女コミック」の映画化で、彼女の『ストロボ・エッジ』と『アオハライド』は映画化されている(これまた見ていない)。それに、ここに4人の若手俳優の名前を書いたが、私は1人も記憶になかった。

4人のうち3人が住むマンションの全体像がしばしば写る。少しだけ高級仕様な感じ。さらにそれらのマンションを含む海と山に囲まれた落ち着いた街並み(ロケは神戸)が、公園からの遠景で何度も出てくる。撮影は丁寧でちょっとした教室の光の具合を巧みにとらえる。永田神社のお祭りや学園祭もノスタルジックに仕上がっている。

何より手の込んだ脚本と4人の演技にだんだん乗せられてくる。とりわけ聡明で何でも先回りして自分が傷つかないように動く由奈を演じる浜田美波が、その中心としてキラキラ光る。学園祭で中学時代の元カレに「おまえはずるい」と言われてからの変貌ぶりが嬉しくなる。

さてその日はたまたま水曜女性デーで、周りは女子高生や若い女性ばかりだった。見たのは初めて行ったTOHOシネマズ池袋だったが、ちょっと寂れた場所にあってオフィスビルの中にあることもあり、新宿や日比谷や日本橋の華やかさはない。私にとっては自宅と大学の中間にあって便利なので、今後も通うかもしれない。この場末感はむしろいい。

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