『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』のノスタルジックなニューヨーク
ウディ・アレンの『レイニー・デイ・イン・ニューヨーク』をようやく劇場で見た。松竹系の映画館なら誕生日割引で千円で見られるとわかったからだが、実は予告編を見てもいま一つ気が乗らなかった。それは主人公の「ギャツビー」をティモシー・シャラメが演じていたからかも。
こんな文学的な名前の人物をシャラメがやったらさぞ嫌味だろうと思った。そのうえ相手役のアシュレーは、天然ボケがぴったりのエル・ファニングだし。実際、見始めると最初は金持ち学生2人の会話が退屈に思えた。ところがさすがウディ・アレンで、だんだん乗せられる。
ニューヨーク郊外の裕福な子女の多いヤードレー大学に通うギャツビーは、恋人のアシュレーが大学新聞で有名監督にインタビューするというので同行する。彼の自宅はニューヨークなのでアリゾナ出身のアシュレーを案内する予定だった。しかしアシュレーは監督や脚本家や俳優に次々に気に入られて、ギャツビーと過ごす時間はない。
一方ギャツビーはかつての同級生の映画撮影に出くわし、そこで昔の恋人の妹チャンと再会する。彼女とメトロポリタン美術館に行ったり、ホテル「ピエール」のラウンジでピアノでジャズを弾き語りしたり。さらにギャツビーは美術館では親戚にばったり会って、避けたかった母の誕生会に行く羽目に。そこでの母からの思いがけない告白。
一日中雨のニューヨークがいい。ギャツビーがジャケットを着て傘を差して一人で歩き出すだけで気分がよくなる。彼のナイーブなナレーションも最初は気になったが、だんだんはまってくる。撮影はイタリアの至宝、ヴィットリオ・ストラーロ。
ウディ・アレンの映画でインテリを気取るセリフが出てきたのも久しぶりかも。田舎者のアシュレーは監督に会うと「ルノワールやデ・シーカは好きです」と言ったり、「フィルムノワール」に言及したりする。たしかギャツビーがドニ・ドゥ・ルージュモンやオルテガ・イ・ガセットに触れる場面もあったし、どこかでノーマ・デズモンドの話もあった。
そんなこんなで2人のニューヨークはとんでもない展開だったが、この日の後にギャツビーは少しだけ大人になる。そんな教養小説のようなクラシカルな味わいの映画を久しぶりに見た。ウディ・アレンは#MeToo問題で非難され、2年前に作った本作はアメリカでは公開の見通しが立たないという。これが最後の作品になるかもしれないので、見ておいた方がいい。いかにもウディ・アレンらしいノスタルジックなニューヨークがそこにある。
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コメント
<本作はアメリカでは公開の見通しが立たない
最近、ちょっと極端に走ってますね... アメリカ...
<これが最後の作品になるかもしれないので
確かにありえますね(汗)
投稿: onscreen | 2020年8月 6日 (木) 07時42分