« 今年は夏休みがなかった | トップページ | トロント型に向かうか、東京国際映画祭:その(3) »

2020年8月26日 (水)

『ブックスマート』を楽しむ

アメリカの女優、オリビア・ワイルドの初長編『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』を劇場で見た。予告編を見て、そのずっこけぶりが只者ではない感じがしたから。予感は当たった。

映画はロスの高校の卒業式前夜のモリーとエイミーを描く。モリーは生徒会長で優等生として知られており、名門のイェール大学に内定していることを秘かに自慢に思っていたが、卒業式前日の授業で馬鹿にしていた同級生たちも有名校に進学が決まっていることを知る。モリーはこれまでを取り戻さなくてはと、エイミーを連れて一番派手なニックのパーティに向かう。

冒頭からラップのミュージックビデオのノリで、同級生たちが次々と現れる。なかなか目当てのパーティにはたどり着けないが、その過程の2人の会話がすごい。下ネタ炸裂でいくらアメリカでも高校生でこれはないだろうと思う。あるいはド派手でドラッグやり放題の同級生たちや、生徒と関係を持ってしまう教師や夜中に運転手のバイトをしている校長などもやはりありえない。

エイミーはレズであることを公言しているし、同級生の中には黒人やラテン系、アジア系も多い。ある意味ではカリカチュアになるほどのパラダイスで、高校生なのにみんな人生を謳歌している。能天気に見せながら、実は豊かな層に属する高校生に違いない。

最後には警察が来るが、その切り抜け方や翌日の卒業式のハプニング、そしてエイミーのアフリカへの出発までたっぷり楽しませて終わる。つまりは、こんな高校生だったら楽しいよというシーンを続けた感じで、本当の悪人はどこにもおらず誰が見ても気分がよくなるように巧みに作られた映画だった。

ところで題名の「ブックスマート」(原題も同じBooksmart)という単語は知らなかった。本で学ぶ真面目タイプを指し、その反対がStreetsmart、つまり現場で学ぶ人。確かに私の経験でも、東大卒の同僚にいかにもブックスマートな奴がいたのを思い出す。私自身もブックスマートの部分があると思っていたが、今になるとストリートスマートで生きてきた気がする。

そのあたりへの揶揄も含めて、今風の映像と共に、アメリカの30代半ばの業界才女が作った映画らしい。この映画は一見馬鹿馬鹿しくて単純そうだが、実はなかなか真似できないほどのノウハウがたっぷり詰め込まれている。

 

|

« 今年は夏休みがなかった | トップページ | トロント型に向かうか、東京国際映画祭:その(3) »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 今年は夏休みがなかった | トップページ | トロント型に向かうか、東京国際映画祭:その(3) »