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2020年8月25日 (火)

今年は夏休みがなかった

(今日の分は手違いで昨日数時間アップしたもの)もともと会社員の頃から「夏休み」というものはなかった。1週間休みでも海に行くわけでも山に行くわけでもない。海外に行っても映画を見たり、美術館に行ったり、レストランで食べたりと変わらない。それでも大学に移ってからは、ベネチアとパリに行くのが夏の終わりの行事になった。

幻の映画雑誌『リュミエール』で川喜多和子さんが蓮實重彦氏のインタビューに答えて「夏のおわりになると、いそいそとベネチアに行ってしまうのよね」と言っていたことを思い出す。まさにその感じなのだ。昨日あたりからちょっと涼しくなると、あのリド島の海岸を思い出す。

そこにやってくる映画人やジャーナリストも「夏休み明け」を楽しんでいる感じ。優雅なリド島のホテルで寛ぎながら、夏休み明けを準備しているような「余裕」がある。有名なプロデューサーもレッド・カーペットに出る時を除くと、Tシャツ、半ズボンにサンダル。

一番高級なエクセルシオール・ホテルの海辺のテラスのランチに行くと、あちこちで普段着に近い監督や俳優を目にする。そして夜は19:30のプレス・業界試写の後に、レストランに繰り出す。と言っても美味しいのは3、4軒なので、同じ場所に何度も行って海の幸のパスタやフリットを食べ比べる。

10日の間には必ず一度は大雨が降る。そして急に寒くなる。みんなどこからともなく、長袖シャツやセーターを取り出して着る。映画祭が終わってパリに移動すると、そこはもっと秋になっている。日焼けしたパリジャンたちが「お久しぶり、バカンスどうだった」とやっている。そんなパリに数日過ごしてイタリアとは全く違ったおいしい食事を味わい、帰国の夜便に乗る。

新聞用のベネチアのレポート記事はおおむねパリで書く。土曜の夜に結果を聞いて考えて日曜1日考えて出す。一度、帰国した日の晩に出す必要があったことがあった。飛行機を待つ間に結果を聞いて書き始め、飛行機の中で仕上げて自宅に帰って出す前にもう一度手を入れた。

そんなこんなの騒ぎも今年はない。母も1年半前に亡くなったので、九州には帰らない。地方の芸術祭もどうも行く気が起こらない。せめての遠出は先日行った横浜トリエンナーレくらいか。

だからどうというのではないが、この夏は何だか「収まり」がつかない。宴会は時々やるが、あれは日常だし。

 

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