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2020年8月19日 (水)

「STAR展」に考える

森美術館で「STARS展:現代美術のスターたちー―日本から世界へ」を見た。もともと4月から9月までの開催予定だったから、オリンピックの時期に合わせて日本の現代作家の代表選手を見せようとしたのだろう。コロナ禍で美術館は閉じ、7月末から来年の1月初旬までになった。

展覧会名の「STARS」として選ばれたのは「日本という枠を越えて広く国際的に活躍し、今日、多様な地域や世代から高い評価を得るアーティスト6名」(HPより)で、草間彌生、李禹煥(リ・ウファン)、宮島達男、村上 隆、奈良美智、杉本博司。確かに彼らは現代美術の分野で世界的に知られた存在だ。

全体を見た率直な感想としては、やはり物足りない気がした。これだけ個性的な作家たちだともっと見たいと思った。もちろん、草間彌生や村上隆や杉本博司は既にこの美術館で個展を見たけれど。それでも同じようなオリンピック向け企画だと、新美の「古典×現代2020―時空を超える日本のアート」よりずっといい。

個人的には宮島達男の展示に一番心が動いた。まず最新作の《「時の海—東北」プロジェクト(2020 東京)》がいい。「時の海」See of Timeという作品は、彼が初めて世界に出た1988年のベネチア・ビエンナーレの「アペルト」で見せてから何度かバージョンを発表しているが、今回は水の音の中で青と黄緑の発光ダイオードの数字が光る。

おもしろかったのは《30万年の時計》(1987年)と《Monism/Dualism》(1989年)という初期の2作品があったこと。特に前者は赤と黄の7つずつの文字盤に電線がぶら下がる素朴なもので、彼が最初に数字を使った作品ではないか。私はこの作品を当時銀座のルナミ画廊で見たと思うが、点滅して変わるデジタルの数字の作品を33年も作り続けてきたことになる。

私が働き始めて最初にのめり込んだのが「現代美術」で、宮島達男はその時出てきたばかりのヒーローだった。ここまで基本的なコンセプトをほとんど変えずに深化し続けた作家も珍しいのではないか。

少し似た思いに駆られたのが草間彌生で、彼女の場合は1960年頃の絵画から最近の作品まで水玉や網目や突起を反復するモチーフを続けている。こちらは60年だからもっと長いが、自らの頭の中の妄想、幻想を作品化していく痛ましいような活動の軌跡が胸を打つ。

そのほかの作家だと、村上隆、奈良美智、李禹煥、杉本博司の順におもしろかった。

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