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2020年9月 6日 (日)

昭和館に初めて行く

私の自宅から一番近い美術館・博物館は竹橋の東京国立近代美術館だと思っていたが、もっと近いところがあった。九段下の昭和館である。フェイスブックで「占領から独立までの軌跡 1945-1952」を見たという投稿を見て興味を持った。今日6日までの開催なので行ってみた。

場所は日本武道館の近くで、細長い建物が建っているのは前から知っていた。1999年にできたらしく、そんなに古い建物ではないが、一度も近づかなかった。靖国神社の近くだし、「昭和館」という命名に何か保守的な嫌な感じがしていた。HPを見てみると、「昭和と今を繋ぐ 伝えたい戦中、戦後の暮らし」とも書いてあるし。

まず1Fの受付から3階の企画展示場に行った。何と入場は無料。のっぽビルに近いのでワンフロアーの展示面積は広くない。普通の展覧会の1/3くらいだから、300平米くらいか。展示もお金がかかっていない。それでも「PXとして接収された松屋銀座」などの写真や「ご婦人方 投票をお忘れなく」という内務省のポスターなどを見るのは実に興味深い。

第1部は「占領と改革のはじまり」、第2部は「占領政策と生活の変化」、第3部は「独立への道」。実は一番おもしろかったのは、「東京都中心部の占領軍接収地図」で、巨大な地図に番号が振ってあり、地図のまわりにその建物の当時の写真と使用目的や接収期間などが書かれている。例えば「服部時計店」(現・和光)は松屋銀座と同じくPXで、1945年10月から52年4月まで接収。

その写真は1947年にJ・ロートン・コリンズが撮影したもので、米・カーライル軍事資料館所蔵。PXとはPost Exchangeのことだと初めて知った。第一生命館(現DNタワー21)はGHQ本部で、東京宝塚劇場はアーニー・パイル劇場。銀座、日比谷の大きな建物はすべて接収されたのだから、占領軍は何でもありだ。

映画に関する展示は多くなかったが、第2部に「『羅生門』に最高の賞 国際映画祭」という1951年9月11日付読売新聞の記事や『羅生門』のポスターがある。ほかにも『麦秋』のポスターや『青い山脈』のチラシなど。第3部には「講和条約終わる」という1951年9月9日付の読売新聞の記事がある。

講和条約はソ連や中国が参加しない「片面講和」と書かれていた。いわゆる資本主義陣営だけと講和条約を結んだ日本に、ほぼ同時期にベネチアで映画の最高賞を出したのは偶然ではないだろう。まさに「資本主義陣営へようこそ」という祝福のように見えた。

「昭和館」は国立の博物館だが、東京や京都の国立博物館のような国立文化財機構には属していない。たぶん厚生労働省の管轄なのだろうが、不思議な博物館だ。300円の常設も見たが、これについては後日書く。

 

 

 

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文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

神楽坂近辺にお住まいなら、印刷博物館はかなり近そう。
草間彌生美術館というのもあります(弁天町)。
また、昭和館は遺族会に関係している(委託運営)のでは?

投稿: やざき | 2020年9月 6日 (日) 22時52分

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