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2020年9月12日 (土)

「画家が見たこども展」に考える

三菱一号館美術館で9月22日まで開催の「画家が見たこども展」を見た。もともとは2月から6月までの開催だったが、2月末にコロナ禍で閉じて6月に再開した。今年はこんな展覧会が多い。こんなに展覧会の会期が変わったり、キャンセルになったのはもちろん初めての経験。

実は「画家が見たこども展」と聞いた時は、あまり惹かれなかった。ルーヴル美術館展や大英博物館展のように新聞社やテレビ局が億単位の借料を払って数年に一度やる「〇〇美術館展」は、毎回無理にでもテーマを出す必要がある。そんな時に「こども」は便利だ。どんな画家でも子供の絵はあるから。

さてこれはどこの美術館のものかと思ったら、南仏のル・カネのボナール美術館の全面協力という。そんな美術館があるとは知らなかった。さらにチラシには、オルセーやワシントンのナショナル・ギャラリーの作品もある。これは見たいと思った。

副題は「ゴッホ、ボナール、ヴイヤール、ドニ、ヴァロットン」とある。原題はEnfance revees, Bonnard, les Nabis et l'enfance=「夢に見たこども、ボナールとナビ派におけるこども」。日本題にゴッホがあるのは、客を引き寄せるためだろうが、ボナールやナビ派が中心ならば、「こども」というテーマはしっくり来る。

ナビ派は「素朴派」とも言われるが、ゴーガンを師と仰ぎ、平面的で装飾的な絵を描く。あえて遠近法を無視した絵はこどもの見た世界のようだ。展覧会の最初に出てくるモーリス・ブーテ・ド・モンヴァルの《ブレのベルナールとロジェ》(オルセー美術館所蔵)で、姉弟がセーラー服を着て短パンでソックスをはき、キッと正面を見つめている絵を見て、これだと思った。

解説によれば、当時裕福な階級で子供にセーラー服を着せるのが流行したようだ。展覧会ではフェリックス・ヴァロットンの絵にもセーラー服を着た子供2人の絵があった。よく見るとこの展覧会に出てくるこどもたちはみんなお洒落だ。スカーフやドレスを着たこどもたちがたくさんいる。

どちらかというと小さめの絵が多いし、ボナール特有の光の入り混じる絵画が見られないなと思っていたら、最後の部屋でボナールの油彩画5点あって彼の世界も堪能できた。作品はフランス、アメリカ、日本の各地から集めているし、三菱一号館美術館自体がヴァロットンの版画を何点も所有しているのにも驚いた。

19世紀末にできた建物を復元した美術館にぴったりの内容の展覧会だった。

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