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2020年9月26日 (土)

コロナ禍の夏が終わって

異常な半年だった。ちょうど半年前に卒業式があった。一人一人に卒業証書を渡すのはやめてパーティもなかったが、普通に何百人という卒業生がお洒落をして大学にやってきた。その日以降、あれほどの数の学生を大学で見たことは今に至るまでない。

春休みが長引いて、4月になっても授業を始めるか様子見が続いた。私の勤める大学ではようやく連休明けにオンラインでの授業が始まった。横浜のクルーズ船で百人を超す感染者が出たり、突然首相が小中学校を休みにしたり、非常事態宣言が出たり、小さなアベノマスクが配られたり。

私の2大娯楽場所である映画館も美術館も閉じてしまった。手帳をめくると、最後に映画を見たのは4月7日にユーロスペースで見た『ようこそ革命シネマへ』で、美術館は3月29日に新しくなったアーティゾン美術館へ行った。家にばかりいることになった私は、毎日1時間近く夕方に散歩をしていた。

感染者の急増が落ち着いて映画館や美術館は6月に再開し、私は6月3日に再びユーロスペースで『希望のかなた』を、5日に東京都庭園美術館で「東京モダン生活」展を見た。その頃映画館は座席を半分にしていたが、今はそれも普通に戻りつつある。

映画館は誰も話さずに正面を向いているので休館の必要はたぶんなかった。美術館も混雑する展覧会を今もやっているように日時指定にすれば十分で普通の美術館は開けて大丈夫だった。だけどその頃は誰もよくわからなかったし、社会の同調圧力もあって誰も文句を言わなかった。

体温を測った最初は3月16日だが、4月になってからは今に至るまで毎朝測って手帳に書いている。たまに36.9度などになるとちょっと緊張して測りなおした。確かなのはこの半年間、これまでになかったほど健康だったこと。理由は簡単で、外食が極端に減ったから。

外で飲むと、食べ過ぎ飲み過ぎ喋り過ぎで身体にも頭にも悪い。もちろん居酒屋であらゆるウィルスや菌を吸い込んでいただろう。映画館や美術館と違って、飲み会だけはいろんな意味で危ないと今でも思う。

ごく親しい仲間とはたまに飲みに行くが、大学の同僚とも4月に新しく採用された助手たちとも一度も行っていない。まして学生とはありえない。それに学生はどうも私たち以上に怖がっている印象がある。

対面の授業も一部始まったが、オンラインを希望する学生がいる。高齢の祖母と住んでいるとか、通勤に2時間かかるとか、地方にいるとか理由はさまざまだが、若いので恐怖感はより鋭敏なのかもしれない。それに加えてもともとコンピューター世界に慣れていて、対面より性に合う学生もいそうだ。

そんなこんなでコロナ禍の夏が突然終わった。先週の最高気温37度から突然22度になる。果たして感染者は増えるのか。感覚的にはこの夏と共に終わったような気がしているのだが。

そういえば、この半年の間に新書を出して雑誌やテレビに出た。それから長年の課題だった私の大学の同僚となる専任教員の公募をして、一人が内定した。そういう意味でも思い出深い半年だった。

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