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2020年9月30日 (水)

「再構築」展に考える

27日(日)に終わってしまったが、練馬区立美術館35周年「Re construction 再構築」展を見た。大学での面倒な雑事が終わってそのまま駆け込んだら、いい気分転換になった。「再構築」というのは、4人の現代作家がこの美術館の所蔵品にインスピレーションを受けた作品を新たに作るというもの。

最近はアーティゾン美術館で鴻池朋子が美術館のコレクションと共にインスタレーション作品を展示しているように、館の所蔵品と現代美術の組み合わせが流行っているようだ。もともとこれはルーヴル美術館やヴェルサイユ宮殿などでもやっていて、私は2016年夏にヴェルサイユ宮殿でオラファー・エリアソンの展示を見た。

私は5月に出した『美術展の不都合な真実』で、美術館は作品の収蔵が一番の目的であり、それを魅力あるものとして見せることの重要性を説いた。そういう意味では、現代作家の作品が加わることで館のコレクションを別の観点から見ることができるこうした展示は興味深い。

今回の練馬区美で一番いいと思ったのは、最初にこの美術館のハイライトのような形で、明治初期から現代までの30点弱があったこと。明治初期の五姓田芳柳から靉光、北代省三を経て白髪一雄、高松次郎まで、この館の作品だけで一応日本美術の流れがわかるようになっている。

それから、流麻二果は松岡映丘と松岡静野の日本画、青山悟は郭徳俊のシルクスクリーン、冨井大裕は小野木学の風景画、大小島真木は荒木十畝と池上秀畝の日本画と「対決」している。おもしろいのは現代作品がそばにあると、日本画がずいぶんアヴァンギャルドに見えたり、逆に現代作品がわかりやすく見えたりすること。

いわゆる現代美術を単独として見るとなかなかとっつきにくいが、例えば冨井大裕のちょっとトリッキーな知的なオブジェは小野木学の天井近くまで30点ほどびっしり並ぶ風景画の中では、妙に自然に見ることができる。大小島真木の気持ちの悪い細密画のような絵やインスタレーションも、日本画の掛け軸や屏風があると落ち着く。

練馬区美ほどの小さめの美術館でもできるのだから、これはもっと増えたらおもしろい。できたら1人の才能ある現代作家が、美術館の全体のコレクションに対峙したら、相当に刺激的なのではないか。そんなことを考えた。もちろん現代作家と向き合うのは時間と労力が必要だろうが、お金はあまりかからない。

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