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2020年9月23日 (水)

『ミッドウェイ』を楽しむ

最近のアメリカ映画は日本をかなりきちんと描いている。歴史ものは特にそうで、『硫黄島からの手紙』(2006)、『終戦のエンペラー』(2013)、『沈黙-サイレンス-』(2016)など日本人に好意的でさえある。さて『ミッドウェイ』はどうかと半分怖いもの見たさで見に行った。

監督は『インディペンス・デイ』(1996)など大作が得意のローランド・エメリッヒだし、製作にアメリカ・カナダに加えて中国や香港の会社が参加しているのも、ヤバイ気がしていた。ところが、結果はかなりまともな戦争映画だった。

まず、冒頭に真珠湾攻撃がたっぷりと描かれる。『ハワイ・マレー沖海戦』(1942)で真珠湾を襲撃する側の視点からの映像(ミニチュアとはいえ)はたっぷり見ているが、真珠湾に住む人々から見たら突然戦闘機の爆撃が始まるのはこんなに悲惨なものかと思った。いきなり港の戦艦がいくつも沈み、港の基地に爆弾が降ってくる。港付近を歩いている人々も血だらけ。

これが1941年12月で、4月にはアメリカの日本本土を奇襲で攻撃するドーリットル空襲が始まる。その後中国に不時着したアメリカ兵が「東京を攻撃した」と言って中国人に喝采を浴びるシーンが、あえていえば中国や香港への配慮だろう。実際には日本軍の捕虜になった者もいて、これほど単純ではないはずだが。

そして後半がミッドウェイ海戦となる。ここでおもしろいのは米軍情報部の活躍で、日本に滞在経験があるレイトン少佐(パトリック・ウィルソン)がいい味を出している。結局、日本の空母数隻がミッドウェイに向かっていることが米軍に筒抜けになり、日本の予期せぬ大敗を招く。

そこからは日本の空母を狙う米航空機の大活躍で、飛行士たちの視点から空母とゼロ戦からの攻撃を避けながら爆弾を落とそうとする戦いが描かれる。ある者は直前に海に落とされ、ある者は爆弾を落とすがぎりぎりで当たらない。特に真珠湾攻撃で友人を亡くしたベスト大尉(エド・スクライン)の凄まじい攻撃シーンが印象に残った。

日本軍は山本五十六司令長官を演じる豊川悦司を始めとして、國村隼や浅野忠信らのトップがきちんと描かれている。特に冒頭に1937年の日本でレイトンと言葉を交わす豊川悦司はカッコいい。あえて言えば日本軍も普通の兵士が表に出ていたらなおよかった。それから明らかに日本語がおかしい兵隊がいたのも残念。

欲を言えば、女性が活躍しない、黒人がいないなどいろいろあるが、それでもこれだけの迫力で2つの戦闘をたっぷり描いたことに感心した。あまりに戦闘シーンに力を入れ過ぎて、人間ドラマが少し弱いかもしれない。レイトンと日本の関わりなどもっと見たかった。とにかく138分、ほとんど退屈しない。

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