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2020年10月17日 (土)

『れいわ一揆』についてもう一度

まだドキュメンタリー映画『れいわ一揆』のことが頭に残っているので、少し書き足したい。原一男監督はいつもとんでもない人物を取り上げる。『ゆきゆきて、神軍』(87)の奥崎謙三がそうだし、『全身小説家』(94)の井上光晴は小説家が知られざる面を見せた。

ところが最近の『ニッポン国VS泉南石綿村』(2018)では、見ているうちに複数の人々がおもしろい存在になってきた。原告でないのに一番熱心で総理大臣に会おうとする人とか、裁判から外された人とか、後半はキャラの立つヘンな人々が気になってくる。

今回は主役は安冨歩で、最初は単に東大教授のインテリの遊びかと思って見ていたが、後半になってどんどん魅力的に見えてくる。その次に出てくるのはもちろん山本太郎で、彼の演説は本当にうまい。わかりやすい言葉で本質的なことを次々と語り、よどみがない。

ほかの9人の候補者も街頭演説会や「れいわ祭」で出てくる。そのうちの何人かはかなりおもしろい。一番は創価学会員で立候補した野原よしまさ。彼は比例区ではなく、唯一東京選挙区の候補者だ。いわゆる「濃い」顔を見ればいかにもだが、沖縄の出身なのに東京から立候補している。もちろんそれは東京選挙区に公明党代表の山口那津男がいるから。

彼はこれまで池田大作先生から学んできた平和の精神を今の公明党は守っていないと訴える。「創価学会員よ、立ち上がれ」とけしかけて、多くの拍手が巻き起こる。この人の言葉が深い自分の信念から出ているのは、見ていてよくわかる。その演説はたぶん山本太郎の次に説得力があった。

調べてみたら東京選挙区で当選したのは6人で、彼は8位で落選だが20万票以上を集めた。ちなみに山口那津男は2位で80万票強だが、その1/4を集めたということは、従来の公明党票をかなり侵食したのではないか。残念なことに、彼はれいわ新選組をこの7月に離党していた。創価学会からの圧力だろうか。

次に際立っていたのが渡辺てる子。彼女は「元派遣労働者・シングルマザー」という肩書で最初は見ていてイタかった。実は私の勤務先の近くに彼女のポスターが貼ってあって、この丸顔の張り切ったヘンなおばさんは誰だろうといつも思っていた。

ところが彼女が選挙戦の後半になると、どんどん自信を持ってくる。彼女の演説はたいした内容はないが、その迫力に聴衆は盛り上がる。「今までの人生で一番充実しています」と語り、実に楽しそうだ。れいわ新選組のHPを見ると、この人は次期衆院選の候補予定者として名を連ねている。

ほかにも元セブンイレブンのオーナーで、セブンイレブン本社の前で8時間演説をした三井よしふみもなかなかだった。この人も次期衆院選候補予定者。個人的には山本太郎は野党共闘をやって欲しいが、そうするとこの変人たちは立候補できなくなるかもしれない。そんなことを考えた。

 

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