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2020年10月15日 (木)

『れいわ一揆』を見た

4時間8分の原一男監督『れいわ一揆』を劇場で見た。実は私はこれは山本太郎のPR映画のようなものだと思っていた。この監督のドキュメンタリーは、『ゆきゆきて、神軍』(1987)に衝撃を受けて以来映画館にかかれば見に行き、いつもおもしろかった。

それらは何年もかけて1本を仕上げるのに、今回は昨年夏の参院選を撮っただけだという。そのうえ、れいわ新鮮組や山本太郎のイメージは参院選後はあまりパッとしない。今一つ乗らなかった。

見ようと思ったのは、知り合いの映画評論家がフェイスブックでほめていたから。急に見たくなった。結果としては見てよかった。まず、いろいろな知らなかったことがあった。第一にこれは山本太郎の映画ではなかった。もちろん彼は出てくるが、れいわ新選組全体を撮ったものであり、そのなかでも安冨歩にフォーカスしたものだった。

映画の冒頭、安冨から監督の原にメールが来る。「原さんが映画に撮ってくれるなら、参院選に出ようと思う」。これが6月29日で、選挙の公示は7月4日。1週間もない。そして投票が7月21日。

実を言うと、私は東大教授でもある安冨歩という人を知らなかった。というか、当選して車椅子の介護付きで国会に行った舩後靖彦と木村英子以外は、山本太郎しか知らなかった。10人ほど出ていた朧げな記憶しかない。それはまさに大手メディアが取り上げなかったからで、私の情報は偏っていた。

今回、山本太郎を含めて11人の候補者をじっくり見ることができた。どの候補者もなかなか魅力的だが、やはり映画の中心の安冨歩に圧倒された。実は前半は単調で少し退屈だった。日付が出て、その日の安冨の活動を中心にほかの候補者も写る。

安富は「女性装」をしているが、身体は男性のままで女性が好きだと言う。言葉もオネエ言葉でなく、男性と女性の真ん中のような言葉使いか。そのうえ、安富は選挙演説に馬を連れて歩き、数人の仲間が音楽を奏でる。なんだかサーカスがやってきた感じで子供たちは大喜び。

「子供を守ろう」が彼の主な主張で、北海道、沖縄、京都など全国を回る。選挙戦終盤に自分が学んだ京都大学の前や生まれた大阪の堺市に行く。「かつての緑溢れる堺はどこにいった。だれがこんなにしたんだ」というの発言の強さに、見ている人々、特に女性が涙する。見ている私も涙が出た。

結局、れいわ新選組からは身がい者の2人が当選し、8月1日に初登庁する。その後、映画は馬に乗って楽しそうな安冨を見せて終わる。何となく私も「女性装」をしてみようかという気になった。やはり原一男はおもしろい人を見つけてきて映画にしてしまう天才である。

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