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2020年10月 5日 (月)

『ミッドナインティーズ』の少年たち

俳優、ジョナ・ヒルの初監督作『mid 90s ミッドナインティーズ』を劇場で見た。俳優が監督に乗り出す作品は面白いし場合が多いし、90年代の少年時代を描くという設定に興味を持った。

1983年生まれのジョナ・ヒルは1990年代半ばから後半が中学生で、その時代を等身大で描く。もちろん20年前に日本の田舎で中学生だった私とカリフォルニア育ちのジョナ・ヒルとは環境から何から全く違い、およそ共通する要素はない。

それでも年上の不良少年たちに憧れて、親の心配をかえりみずに大人の世界を垣間見る感じはよくわかる。13歳のちびのスティービーはシングル・マザーの母と背の高い兄とロサンジェルスで暮らしている。彼はスケート・ボードの店で年上の4人の仲間と知り合う。

少し上のルービンを除くとスケボー天才の黒人レイ、ハイチ生まれの陽気なファックシット、無口でカメラを回すフォースグレードはたぶん4、5歳上。彼らにスケボーを学びながら、酒、たばこ、セックスを初めて経験する。裕福なファックシットの家で年上の女性に性の手ほどきを受けるシーンは本当にリアル。

驚きや喜びを素直に表すスティービーを見ていると、本当に自分の中学生時代を思い出す。もちろん私は中学生では酒もたばこもセックスも知らなかったけれど、彼の興奮は身に覚えがある。例えば友人がエロ雑誌を仕入れてきて、部室に集まってこっそり見たような記憶がよみがえる。

スティービーは屋根の上のスケボーに失敗して大けがをし、母親はスケボー屋に行って4人を怒鳴り散らす。それでもスティービーは彼らに会いに出かけ、とうとう5人を乗せた車は大事故を起こしてしまう。

16㎜で撮影し、3対4のスクリーンで見せる古めかしさと相まって、愛すべき小品だった。感じとしては、巧みに青春を切り取る演出は『ブックスマート』に近いが、こちらはノスタルジックな雰囲気が強い。

私は一度もスケボーをしたことがないが、アメリカの青春映画には本当によく出てくる。今回スケボーを習って少しづつ上達してゆくスティービーを見て、おもしろそうだなと初めて思った。

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