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2020年11月 3日 (火)

東京国際とフィルメックスの間を彷徨う:その(3)

週末3日間で9本見た。金曜にフィルメックス・コンペ3本、土曜にフィルメックス・招待2本、日曜に東京国際・コンペを4本。特に東京国際では昼食の時間もないので、コンビニおにぎりで済ませた。昔なら何でもないが、59歳にはさすがにきつかった。

東京国際の関係者向け上映は、これまでのようにシネコンの裏階段に列を作らせるのは「密」のためか、いったん映画館の外の大屋根のチケット売り場あたりに列を作る。20分前になると、その列のままに係が案内する。まるで罪人か奴隷が繋がれて移動している感じで、「映画の奴隷」になった気分。

さてフィルメックスと東京国際のコンペの作品はどちらがいいかというと、なかなか難しい。ここ数年の印象を端的に言えば、東京国際の方がエンタメ志向が混じり、フィルメックスは挑戦的な映画が揃う。しかしそうでない作品もある。

4本見た東京国際のコンペではフィリピンの女性監督アントワネット・ハダネオの『ファン・ガール』が群を抜いていた。アイドルのパウロ・アヴェリーノ(実在で本人が演じる)の大ファンの16歳の女子高生ジェーンが、パウロの家に行ってしまうという話。基本はノリのいいコメディだが、パオロの不倫やジェーンの母の離婚や恋愛などが出てきてリアルな社会性がじわりと生まれる。

ジェーンは憧れのスターが立ちションをし、ドラッグ好きで他人の妻に手を出しているのを見るが、それでも嫌いになれない。二人が近づく感じがきちんと描かれているし、最後に家に帰ったジェーンが起こす行動も怖い。実に巧みな演出で5点満点で4点。

娯楽として最後まで見せてくれたのは、インドのマンゲーシュ・ジョーシー監督『遺灰との旅』。インドの大家族の長男が亡くなり、遺言に従って遺灰を先祖の土地とパンダルプールの川に撒く旅に出たのは弟3人と妹1人と息子。とにかく珍道中だし、みんなが問題を抱えて遺産を当てにしているのが、それぞれのスマホで垣間見える。

一方で妻は銀行にお金を下ろしに行って、死んだ夫に別の家族があったことを知る。旅に出た5人は途中で弟の1人が歌いだしたり、車が故障したり、祭にぶつかったりとてんやわんやで、最後の最後まで楽しませながら人生の悲哀をたっぷり見せる。3点。

イギリスのマット・チェンバーズの『バイク泥棒』は、ロンドンでピザの宅配をして妻子と暮らすルーマニアの移民を描く。バイクが盗まれて窮地に陥るという展開だが、ケン・ローチばりの社会派にしては脚本が弱い。2.5点。

韓国のチョン・バルン監督『スレート』は、アクション女優を目指すユニがスタントで入った撮影現場でパラレルワールドに入り込むドラマ。学生の自主映画にありがちなテーマだが、中途半端な娯楽で途中で退屈。2点。この4本はすべてワールド・プレミア。

ちなみにフィルメックスの方も点をつけると、アゼルバイジャンの『死ぬ間際』は4.5点(ベネチア・コンペ)、韓国の『無聲』(台北映画祭)は3.5点、フィリピンのアスワンは3点(アムステルダム・ドキュメンタリー映画祭)あたりか。

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