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2020年11月 8日 (日)

アメリカはわからない:その(1)

4年に1度、大統領選になると、アメリカはわからないと改めて思う。まず3日が投票日で既に4日もたっているのに、まだ開票が終わらないとはどういうことなのか。ネットを見ると慎重なニューヨーク・タイムズやCNNもバイデン勝利を報じているので、ようやく当確は出たようだが。

もともと半年も前から共和党と民主党の候補を選ぶのに派手なキャンペーンをやっており、いつもお祭り騒ぎのような映像が流れていた。選挙が終わっても開票をやめろとか続けろとか大騒ぎしている。昔、「アメリカ人はボンクラだから」と言った友人がいたが、本当にそう思う。

郵便投票というのも日本には基本的にないのでわからない。トランプじゃないが、郵送は信用できるのかと思う。それに投票日以降に届くというのも不思議だ。州内の郵便にどうして何日もかかるのか。

州ごとの選挙人制度はもっと謎だ。ペンシルベニア州でバイデンが逆転して20人の選挙人を得たというが、半分近い人はトランプに投票したわけで、その人々は不満だろうと思う。さらに州によってはこのような「総取り」方式でないところもある。トランプは訴訟を起こしているが、それは各州に対してであり、訴訟を認めるかの判断も州ごとで違う。

前に読んだ宇野重規著『民主主義とは何か』によれば、「古代ギリシャの都市国家は民主主義を維持して小国にとどまりましたが、アメリカは基礎的な民主主義を維持しつつ、大国を実現しています。アメリカの連邦は、あくまで構成する州によって成り立つ一方、あたかも一つの共和国のように、一人ひとりの個人とかかわっています。これをトクヴィルは、近代政治学の傑作と評価しています」

19世紀のフランスのトクヴィルの評価はともかくとして、アメリカは州が国なのだと考えた方が良さそうだ。アメリカでは自分が生まれた州から一歩も出ない人が半分はいるとだいぶ前に聞いたが、それは「ボンクラ」になるだろう。

私はアメリカに4回しか行ったことがない。1989年、90年、96年、2016年。私の記憶の中のアメリカは、何百メートル行っても奥が見えないような広大なスーパーである。あるいはショッピングモールのカフェで、ラージサイズ(本当に大きい)の甘いアイスティーを飲んでいる太ったおばさん。やたらにキンキラキンに輝く高級ホテルやバカでかいリムジンカー。安ホテルで朝食を頼んだら、チップを渡すまで出て行かないラテン系の従業員。

アメリカ(やカナダやオーストラリア)で、本当においしいものを食べたことはない。炊事のできるニューヨークのホテルで、大きな牛肉を買ってきて食べた時くらいではないか。ホテルもレストランもずいぶん高い。2016年の印象では物価は日本の2倍くらい。

この程度の経験では、やはり私にはアメリカはわからない。それにしても、トランプが負けてほっと息をつく日曜日である。

 

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