« 『バクラウ』を楽しむ | トップページ | 『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』に考える »

2020年12月 4日 (金)

急に寒くなると

一昨日から急に寒くなった。毎年、もう60年近く繰り返しているはずなのに、「おお寒い、寒い」と声を挙げる。今年は10月から11月まで、比較的長く秋が続いた気がする。8月から9月が夏で、その前は6月から7月までよく雨が降っていたのではないか。

何だかコロナ禍で感覚がおかしくなった気がする。外に出る機会が減り、人と会うことも少なくなった。家の部屋の中や大学の研究室で、一人でパソコンに向かって話す。当然ながら外の気温は感じない。

もちろん通常の授業でも教室に冷暖房はあるが、まず教室まで廊下を歩く。あるいはいったん外に出る教室もある。それから飲みに行く機会は圧倒的に減った。少なくとも学生や助手など、自分が誘うと断りにくい相手には声を掛けにくい。飲み屋の行き帰りの夜道のひんやりした空気を感じることがなくなった。

私はオンライン授業をする時もできるだけ大学に行く。そうすれば外の空気を吸うし、少しでも歩くから健康にいい(だろう)。学生とは会わなくても、助手や同僚や事務の方々と顔を合わせる。だから何をするわけではないが、知っている人の顔を見ることが精神的なバランスを保つ。

考えたら今年は服もあまり買っていない。外出が減るとどうもそうなってしまう。この9月以降買った唯一の服は、イッセイ・ミヤケのコート。このブランドは、実は20代の頃から時々(といっても2、3年に1度)買っているが、メンズが今シーズンですべてなくなってしまうというニュースを読んだ。

よく行く銀座の店から30%引きという案内が来たので、東京フィルメックスの帰りに行ってみた。久しぶりに一目惚れのように大判のコートに惹かれて、すぐに買った。ところがまだまだ暑かった。

ようやく3週間ほどして寒くなったのでようやくそのコートを着た。来てみると想像していたほどカッコよくはなかったが、それでも嬉しい。ここまで書いて、このコートを着られるから寒くなったと喜んでいる自分に気がついた。

昔から一つのブランドに4、5年凝るが、だいたい路線が変わるか自分の趣味が変わり、かつ年を取るので別のブランドが好きになる。イッセイ・ミヤケはほとんど変わらないこともあって、何となく買い続けた。仕事で三宅一生さんと何度か会ったことも関係あるかもしれない。一度は怒られたこともあったが。

そんなこんなで冬になった。コートに限らず、マフラーや手袋など冬は身に着けるものが多い。チョッキ(今はベストあるいはジレ)やブーツも大好きだ。寒いのは嫌なはずだが、そのために着込むのは実は大好きなのだ。

 

|

« 『バクラウ』を楽しむ | トップページ | 『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』に考える »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 『バクラウ』を楽しむ | トップページ | 『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』に考える »