『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』に考える
カポーティのドキュメンタリーの『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』を劇場で見た。カポーティといえば、フィリップ・シーモア・ホフマンが演じた劇映画『カポーティ』もあったが見ていない。それほど神話化されるこの小説家について、ドキュメンタリーを見たら少しはわかるかと思って見た。
見始めて思ったのだが、実は彼の小説は1つも読んでいなかった。『ティファニーで朝食を』さえ、映画しか見ていない。それでもやたらにメディアに出てくるセレブ系の小説家として、彼の顔は記憶にあった。
映画のきっかけになったのは、未発表の取材テープ。それに監督のイーブス・バーノー監督が新たにインタビューした映像を加えたものが中心となる。取材テープにはノーマン・メイラーなど著名な作家の声もある。女優のキャンディス・バーゲン(懐かしい!)の声で「ベトナム戦争の最中にあのパーティは後ろめたかったわ」という言葉もあった。
「あのパーティ」とは1966年、『冷血』の完成を記念してニューヨークのプラザ・ホテルで開かれた「黒と白のパーティ」。男性は黒、女性は白か黒の仮面をつけて現れるという決まりで500人以上が招待された。写真や証言がいくつも出てくるが、その豪華さといったらない。
そのあたりからカポーティは、小説を書くよりもテレビに出て放言を吐き、バーやディスコに繰り出すセレブ生活が中心となる。そして酒と薬に溺れて、未完の小説を残したまま亡くなる。ゲイで男性と住んでいたが美女が好きで、背の低いカポーティが二回りくらい大きな美女を連れ歩く写真や映像が妙に愛おしい。
残念なのは音声のみのテープが流れる時に、無理に空白を埋めようと「再現ビデオ」的な映像が挟み混まれていること。ニューヨークやカンザスの街を当時のアーカイブ映像から見せるのはまだいいが、ワイングラスが割れる場面などの再現は作り過ぎ。確かに小説家や哲学者のドキュメンタリーは、基本的に見せるものが本しかないので難しいのはわかるが。
とりあえずこの1本を見てカポーティがわかった気になったので、せめて『冷血』でも読もうと思う。アンディ・ウォーホルもそうだが、戦後のアメリカで文学や美術が「セレブ」に結びついていく様子がよく描かれていたのも興味深かかった。日本ではたぶん一番メディアに出ていた三島由紀夫さえもこれはない。
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