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2020年12月31日 (木)

年末の映画ベストテン

今年はほぼ2ヵ月映画館が閉じたし、外国の映画祭にも行けなかった。試写もオンラインが増えたが、私は特に頼まれた時以外はオンラインは見ずに、公開後に評判を聞いて劇場に行くことにした。結果として今年スクリーンで見た映画の本数は200本を切った。

そのせいか、私が朝日新聞デジタル「論座」で選んだベスト5は、ほかの人とほとんど重ならなかった。私が書いたものをコピペする。

1.『マーティン・エデン』(ピエトロ・マルチェッロ監督)
2.『レ・ミゼラブル』(ラジ・リ監督)
3.『ある画家の数奇な運命』(フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督)
4.『燃ゆる女の肖像』(セリーヌ・シアマ監督)
5.『シチリアーノ 裏切りの美学』(マルコ・ベロッキオ監督)
次点:『スパイの妻』(黒沢清監督)、『れいわ一揆』(原一男監督)、『37セカンズ』(HIKARI監督)、『おらおらでひとりいぐも』(沖田修一監督)、『ロマンスドール』(タナダユキ監督)、『のぼる小寺さん』(古厩智之監督)、『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』(豊島圭介監督)、『バクラウ 地図から消された村』(クレベール・メンドンサ・フィリオ)、『はちどり』(キム・ボラ監督)、『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』(ビー・ガン監督)、『鵞鳥湖の夜』(ディアオ・イーナン監督)

新聞のベストテンでこれらの映画を挙げている人は少ない。一番近いのは毎日新聞(邦画3本、洋画3本)で『レ・ミゼラブル』と『ある画家の不思議な運命』を挙げた鈴木隆記者と『燃ゆる女の肖像』と『マーティン・エデン』を選んだ山口久美子記者。「日経」(3本)は古賀重樹記者が『燃ゆる女の肖像』と『はちどり』(私は次点)。

「朝日」(3本)はライターの月永理絵さんが私が次点とした『はちどり』と『スパイの妻』。「読売」(3本)も私の次点で、右田和孝記者が『はちどり』、恩田泰子記者が『バクラウ』。

私が1位として選んだ『マーティン・エデン』を褒める人はいないかと検索したら、オバマ前大統領が選んだ14本の中に『バクラウ』と共にあった。彼は政治家と思えないほどマイナーな映画を見ており、2019年には『アイリッシュマン』や『帰れない2人』や『パラサイト』を、前年は『万引き家族』『バーニング』『Roma ローマ』があるから相当のもの。

一般に今年の日本のベストテンは重ならない作品が多いのが特徴か。そんななかで渋い書き手はワン・ビンの『死霊魂』を挙げる人が数人いた。これはわかるが、私は山形で第1部しか見ていないので挙げられない。どうしても東京でそれ以上見る気が起こらなかった。『海辺の映画館』や『朝が来る』や『風の電話』はどれも力作だが、私にはどうしてもそれぞれの監督の中では中くらいの作品に見えた。

そんなこんなでいいの悪いのと言っているうちに、異様な1年も終わる。来年は映画も世の中もどうなるのか、誰も予想ができない。

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コメント

中条省平さんは「シチリアーノ」と「燃ゆる女の肖像」をベスト3に入れていますよ。

投稿: 古賀 | 2020年12月31日 (木) 11時38分

あけましておめでとうございます。

ハリウッド映画が1本もないベスト5、すごいですね!

「マーティン・エデン」はNY Tumesのベスト10でやはり1位に
なっていて気になっていたところでした。

勉強になります!

投稿: onscreen | 2021年1月 1日 (金) 08時05分

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