« 20年前はイタリア年だった:その(1) | トップページ | 覆面で見た『花束みたいな恋をした』 »

2021年1月 6日 (水)

「琳派と印象派」展に考える

アーティゾン美術館で1月24日まで開催の「琳派と印象派」展を見た。「琳派」も「印象派」も人気がある。この2つの組み合わせはうまいなと思ったら、案の定、平日昼間でもかなり混んでいた。

副題は「東西都市文化が生んだ美術」、つまり、京都や江戸とパリを比べるという話でいい感じがするが、実際に並べると違い過ぎると思った。「都市」でも江戸のあちこちが細密画のように描き込まれた《江戸図屏風》とピサロの《ポン=ヌフ》は完全に異次元の世界だ。

「間」というテーマで、国宝の俵屋宗達《風神雷神図屛風》(建仁寺蔵)のあとにドガの踊り子やセザンヌの水浴する男女を見ても、比較する気にならない。ほかにも「水の表現」とか「扇形」とか遮二無二テーマを作ってはいるが。

途中からその比較が無理になったのか、印象派だけがずらりと並ぶ。都市の市民、静物、神話的世界、郊外。最後に鈴木其一の筑波山の屏風とセザンヌのサント=ヴィクトワール山が並んでいた。ほとんど似たような絵柄だが、其一の絵は何もない空間にポツリといくつかのシンボルを置くような感じで、セザンヌは見る者の視覚の錯乱を見せる。出発点が全く逆に思えた。

考えてみたら宗達は17世紀、光琳が18世紀、抱一や其一は19世紀前半だが、印象派はすべて19世紀後半から20世紀初頭。同時代性もないのに江戸だパリだと言っても違うだろう。

それにしても100点余りからなるこの展覧会(琳派の多くは展示替えで実際は70点くらいか)の2/3を超す作品がアーティゾン美術館の所蔵品であることに驚く。旧ブリジストン美術館の時代からモネを中心とした印象派コレクションは有名だったが、これほど日本美術も持っているとは思わなかった。重要文化財の尾形光琳《孔雀立葵図屏風》は見応えがあったが、この館の所蔵。

そうでなくても宗達の《風神雷神図屛風》や《蔦の細道図屏風》(重文・相国寺蔵)もあったし、印象派の傑作もたくさん見たし、さらに常設展も見ると満足度は増してくる。今回は「久留米をめぐる画家たち」のミニ特集があって、青木繁、坂本繁二郎、古賀春江も堪能できた。新しい収蔵として展示されていた3点のアボリジニの絵画も刺激的だった。

家に帰ってネットで調べたら、高階秀爾氏が2020年のベスト3の展覧会として挙げていた。「琳派と印象派を、京都、江戸、パリという都市が生んだ美と捉えた文化比較が卓抜」にううむ。

|

« 20年前はイタリア年だった:その(1) | トップページ | 覆面で見た『花束みたいな恋をした』 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 20年前はイタリア年だった:その(1) | トップページ | 覆面で見た『花束みたいな恋をした』 »