佐藤可士和展がわからないワケ
国立新美術館で5月10日まで開催の「佐藤可士和展」を見たが、何がいいのかさっぱりわからなかった。もともとこのデザイナーとは相性があまりよくない。この展覧会の会場でもある国立新美術館が2007年にオープンした時、その薪のような文字やマークを見て「なんだろう」と思った記憶がある。
美術館の学芸員に聞くと「佐藤可士和さんという若手ナンバーワンのデザイナーだよ」と教えてもらった。私は2002年に田中一光さんが亡くなられてから1年半後にその回顧展を東京都現代美術館で企画したこともあり、少しはグラフィックデザイナーを知っていたつもりだったが知らなかった。その後有名になってユニクロの新しいロゴを見た時も、「ヘンだなあ」と思った。
しかしこれまでの経験から、ロゴとかマークは慣れるものだろうと思った。実際に新美やユニクロの文字も慣れてきた。さてこの展覧会は、まず街頭に出された巨大な広告の実物大(たぶん)の展示から始まる。SMAPとかユニクロとか極生とかLOFTとか。ロゴを中心にしたもので、写真などはほとんど使っていない。いわゆるポスターと違ってロゴだけが目立つ感じ。
それから新美を含めたいくつもの組織のロゴの部屋がある。楽天、Tポイント、日清、セブンプレミアム、くら寿司、など今風の企業が多いが、三井物産、ヤンマー、DAIWAなどもある。
ポスターや本などのいわゆるなどのグラフィック・デザインのコーナーは少ないし、印象に残るものは少ない。田中一光さんを始めとするグラフィック・デザイナーはここが主戦場だった。ロゴも作っているが、あくまで印刷物が中心なのだ。一光さんの場合は特にポスターの文字とイラストや模様の構成がその色彩も含めて抜きんでていた。
この展覧会には「スペースブランディング」という展示もある。ユニクロの店舗やヤンマーミュージアムなどの空間演出だ。こうなると半分建築の分野だと思う。クライアントのない創作も少しあったが、あまりおもしろくなかった。
私が一番楽しかったのは、セブンイレブンのオリジナル商品が所狭しと壁に展示してあるコーナー。それぞれの商品へのデザインの指示書きもあって興味深かった。あの物量は力を持つ。
私が面白さを感じなかったワケは、紙や印刷物がほとんどなかったからだと思う。そもそもユニクロ、楽天、Tポイント、セブンイレブンなど今世紀になって急成長した今風の企業や商品やサービスが多い。古くさい私の目から見たら「虚業」に見えるこうした産業を支えているのが、佐藤可士和氏のド派手なロゴだろう。
展覧会は平日昼間でも若い人で賑わっていた。21世紀に育った彼らは、まさに同時代性を感じているのだろう。
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コメント
確かに、スペースブランディング は全く面白くなかったです。
この領域は建築家のものだ、ということでしょうか。
同時代性がいっぱいの一方、最後の展示は可能性は感じましたが、?な部分も。
今後彼がどう動くか、木になるところではあります。
投稿: onscreen | 2021年3月21日 (日) 08時27分