シネコン最後が『約束の宇宙』とは
全く不覚だった。昨日、私はここで美術館や博物館を閉めるのは次の段階だろうと書いた。確かに昨年4月の「宣言」ではある意味で何もわからずに映画館や美術館を閉めたが、今年の1月の「宣言」はそんなことはなかった。
1月8日の「宣言」の「目玉」は20時閉店だった。これまた誰が考えたのかわからないが、確かに夜遅くまで飲み歩けなくなるので、一定の歯止めにはなった。これが3月21日に解除されて21時になったが、その後感染者が増えて4月8日の「まん防」でまた20時までに戻った。
それでも感染者は増え続けた。特に大阪はひどい。これは打つ手がないなと思っていたら、大阪は再び緊急事態宣言を要請した。大阪に比べたらまだいいと思っていたら、東京都もそれに乗っかる形で突然「宣言」を要請した。
今回の「目玉」は「酒なし外食令」だった。これが木曜昼間に出た時はびっくりした。この奇策で確かに飲み会はできなくなる。これだけで十分に効果があると思っていたら、金曜日には1000平米以上の大型商業施設が休業要請というニュースが流れた。これでいくとシネコンは1000平米以上だけど「商業施設」なのかどうかと思った。
少なくとも明らかに「商業施設」ではない美術館は開けると思っていた。ところが昨日土曜日の朝に東京都美術館など都関連が25日から閉まると知った。昼間には国立美術館が閉鎖のニュースが出た。これに倣ってほとんどの美術館・博物館が閉じてしまった。美術館は今では混む展覧会は予約制を導入したで大丈夫だと思っていたのに。
昨日昼間までは、映画館は閉めないと思っていた。私はTOHOシネマズの6回無料券があったので、あまり深く考えずに時間と場所の都合で『約束の宇宙(そら)』を選んで見に行った。「朝日」で絶賛の映画評が1番の大枠で出ていたし、そこに『レ・ミゼラブル』と『燃ゆる女の肖像』と今年のアカデミー賞のフランス代表を争ったと書かれていた。これら2作は傑作だったし。
監督のアリス・ウィンクールが女性というのも気になった。ところが見たら、ちょっと甘い作りの娯楽映画だった。シングルマザーの女性が宇宙飛行士として出発するまでを描いたもので、主なドラマは娘と会えないということだけ。娘と離れて訓練をする苦しさだけが延々と出てきて途中で飽きた。
そもそも、主演のエヴァ・グリーンが美人でスタイルが良すぎて、肉体労働のはずの宇宙飛行士が全く似合わない。彼女のおっぱいがチラリと見えるシーンが何度もあって、お色気サービスみたい。そのうえ、重要なブリーフィングに彼女は娘を同席させて仲間に迷惑をかけた上に出発前の隔離期間に抜け出して娘と会う。どう見てもこれは飛行士失格だし、すべてに厳しいロシアの国際宇宙センターが見逃すとは思えない。
彼女は娘とは仏語で話すが、別れた夫はドイツ人。字幕には出なかったが、彼女はケルンに暮らしていて、宇宙研究者の元夫はフランクフルト郊外のダームシュタットに住む。彼女は英・仏・独語を話すが、ロシアではロシア語まで話す語学の天才。娘も仏独語に堪能。元夫は彼女が宇宙に行く間に娘を預かってくれるし、訓練中も必要なことをすべてやってくれた。なぜ別れたのかと思うくらい。
女性監督が作ったシングルマザーが宇宙飛行士になる話なのだが、ちょっとのんきなフェミニズム映画にも見えた。
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