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2021年5月11日 (火)

(たぶん)初めて都電に乗る

吉見俊哉著『東京裏返し 社会学的街歩きガイド』を読んで以来、急に都電荒川線に乗りたくなった。どうしても前に乗ったような気がするのは、製作に関わった侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の『珈琲時光』(2003)で、何度かロケを見に行ったからだと思う。

一青窈演じる陽子は鬼子母神前に住むが、実際にロケ撮影をした部屋もそのあたりにあった。彼女はそこを出て、鬼子母神前駅から都電に乗る。ロケ現場に行き、できあがった映画を何度か見ているので、何となく自分も乗った気になっていた。

今回、たぶん初めて乗るのに、まず自宅から始発の早稲田駅まで歩いた。ついでに友人がフェイスブックで開いていると書いていた肥後細川庭園=新江戸川橋公園に寄った。ここはあまり知られていないが、大きな池のある本格的な屋敷で相当に広い。桜の名所でもあるが、期待した菖蒲はあまり多くなかった。それでも静かで別世界。

そこを出て神田川を渡ると都電荒川線早稲田駅。ちなみに東西線の早稲田駅からはかなり遠い。ちょうど着いたばかりの電車に乗った。たった一両で幅も狭い。始発駅なので、乗った10名ほどは座れた。地下鉄はもとよりバスよりも速度は遅いし、道路の赤信号でも止まる。風景が前後左右に見えて全体にのんきな感じ。

面影橋、学習院下と止まると、もう立つ人が出た。鬼子母神前、都電雑司が谷まで来るとほぼ満員電車状態に。とても風景なんて見えない。そのうえ、お年寄りや赤ん坊連れが多いので、座っていられない。席を譲るにも、ほとんど押し合いへし合いに近い。

予定では、飛鳥山で降りて飛鳥山公園を歩いて王子まで行く予定だった。そこは日本の資本主義の父、渋沢栄一が日本で最初に製紙工場(後の王子製紙)を作った場所であり、関連の博物館などもある。『東京裏返し』によれば、「渋沢にとって、上野台地の根元にある飛鳥山と石神井川が出会う王子は重要な地政学的ポイントでした」

ところが乗り降りも多く、とてもそこまで行くのは大変だと思い、急に庚申塚で降りた。久しぶりに「おばあちゃんの原宿」巣鴨地蔵通り商店街を見たいと思ったからだ。行ってみると、レトロな昭和の店はほとんど健在。さすがに高齢者はあまり多くないが、どの店も開いていて客もいる。ゴマやイモや豆の専門店に大福とか煎餅とかどれも美味しそう。

何度かいった「じゃっぱ鍋」で有名な「加瀬政」も健在で嬉しかった。酒が飲めるようになったら、また行かねばなるまい。15分ほど巣鴨駅まで歩いてJRに乗ってびっくり。まず広いし、冷房が効いている。昭和から一挙に令和に舞い戻った。

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