フランスからのITV
先日、フランスからのオンライン・インタビューに答える経験をした。取材にその場で適当に答えることならば、日本でも電話でよく受ける。しかし今回はちょっと複雑で、ある文化イベントのための映像だった。
パリ郊外のフォンテーヌブロー市では、毎年「美術史フェスティバル」があるという。今年はテーマが「日本」らしく、そこでパリ日本文化会館が全面的に協力している。「美術史」はhistoire de l'artの訳なので、「アートの歴史」の方がいいかもしれない。そこで映画の歴史も必要らしく、フランス語で語れる日本人をということで、同会館から連絡があった。
最初はオンラインインタビューを受けてそれを向こうで同時に流すだけだと思ったので、質問を事前にもらえたらやります、と答えていた。先方は「ITV」というので聞いてみたら、インタビューを録画して編集して番組にするという。そしてその映像はネットのものでなく、日本で高画質で録画するらしい。
つまりZoomを使ってパソコン上で相手の質問を聞きながら、目の前のカメラに向かって話す。パリ日本文化会館の映画担当で日本語が堪能なファブリスさんは、5年前にパリのシネマテーク・フランセーズでの座談会で一緒だった。彼はその時の私の話しぶりを覚えていて、依頼したという。
ところが舞台の上の座談会はその場限りのもので、多少フランス語に問題があっても、口語で何とかわかるようにごまかすことができる。ところが、これは後で映画の写真やキャプションを入れて編集するという。いわばNHKの教育番組のような感じだろう。
ファブリスさんも忙しいらしく、10くらいの質問が来たのは3日前。テーマは「国際映画祭と日本映画」で特に『羅生門』が1951年のベネチアで金獅子賞を受賞して以来の日本映画の受賞ラッシュとその後について話すことになった。これだと事実関係を確認してフランス語にまとめるのに時間がかかった。
ようやく質問に対する答えを書き終えたのが、始まる2時間前。それを推敲していると、時間になった。こちらの録画は最初はどこかの映像制作会社に頼むはずだったが、その半分の謝礼で私の大学の講師や助手にやってもらった。アップと引いた画像を2種類必要なのでHDカメラを2台必要だが、そういう機材は大学にある。
本当ならば事前にフランス人にフランス語をチェックしてもらう必要があったが、その暇がない。こちらのカメラを2台セットして本番になり、Zoomでの質問に対してカメラを見て答えた。実質は30分ほどだったが、最初はがちがちに緊張して下を見て原稿を読むだけ。途中から語順を変えたり冗談をいれたりして少しはカメラを見ることができた。
いやあ、疲れた。先方はすごくよかったと言ってくれたが、フランス語は相当にひどかったと思う。それに何カ所か誤解を生むような表現を使った気もする。この映像が編集されてフォンテーヌブローの講演会に1度限り使われるのならいいが、どこかのネットにアップされたら恥ずかしい。いやあ、ヘンなものを引き受けてしまった。
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