『SNS 少女たちの10日間』は実録「おとり捜査」
テアトル系が再開したので行きたくなり、時間がちょうどよかったのでドキュメンタリー『SNS 少女たちの10日間』を見た。「朝日」に「チェコ発の衝撃的なドキュメンタリー。」で始まる大絶賛の映画評が載っていた。アメリカではなく、チェコというのも気になった。
監督はバーラ・ハルポヴァーとヴィート・クルサークの2人で、彼らは全編にわたって画面に出てくる。なぜなら彼らの「実験」の経過を撮影して編集した映画だから。
その「実験」とは12歳の少女に化けた女優を使って、SNSで男たちがどれだけ引っかかってくるかを見るというもの。女優たちはたぶん20歳くらいだが、オーディションで27人の応募者からメイクと服装で12歳に見える3人を選ぶ。そのうえ、スタジオ内にそれぞれに合った部屋を作り、カメラで撮影しながら監督たちに加えて精神科医や弁護士など計10名強がSNSの進展を見守っている。
案の定、可愛い写真を出して「12歳」などと書くと、おもしろいように男たちが群がる。20代から60代までだが、おおむね服を脱ぐように要求する。もちろん3人は応じないよう指示されている。すると男たちの多くは自分で裸になって性器を見せつけながらオナニーを始める。もちろん映画ではぼかされているが、気持ち悪いことこの上ない。あるいは獣姦や幼児ポルノの映像を送りつける。
3人のうち1人が何度も裸の写真を要求されると、監督たちは何とポルノ女優を使って写真を合成して送る。当然相手は喜び、目の前で裸にならないとその写真をばらまくと脅し始める。いかにもはめている感じ。彼女たちは電話の会話にも応じる。そうすると相手はぜひ会いたいと言ってくる。
そこで監督たちはカフェを見つけて事前にカメラやマイクを設置し、さらに近くのテーブルにいざという時のために助けを呼べるスタッフを配置する。もちろん現れた男たちは何とかホテルや自宅に連れて行こうとするが、3人は応じない。
10日間で3人のSNSに乗ってきた2500人ほどの男たちの中に、子供たち相手にキャンプなどを手配する仕事をしている男がいるのをあるスタッフが見つけた。常時子供と接している男だからまずいと考えた監督たちは、カメラを持って自宅に押しかけて問い詰める。男は「なんでそんなことをするのか。ほかに暴くべきことはたくさんあるのに」
最後に警察が捜査のためにこの映像の提供を求めたというクレジットが入る。チェコでは15歳未満への性的行為は違法であることは途中で弁護士が説明しているから、逮捕者も出るかもしれない。それをあくまで社会正義のように映画は見せる。
警察に頼まれもしないのに、「おとり捜査」をやり、それを実録のように見せる。あのように挑発したら普通の男たちも乗ってくるのは当たり前だろう。それを弁護士などの解説も加えて正義の行為のように見せる。そしてそれを話題性のある映画に仕立てて金を儲ける。これはいくら何でもないのではないか。こんな映画をほめた評論家がいるとは驚きだ。映画を見てこれほど不愉快になったのは珍しい。
| 固定リンク
「映画」カテゴリの記事
- あっと驚く『シラート』(2026.06.15)
- 『箱の中の羊』の微妙さ(2026.06.11)
- 『霧のごとく』の重さ(2026.06.07)
- 金子修介『無能助監督日記』を読む(2026.06.05)


コメント