« 『ベル・エポックでもう一度』の俳優たち | トップページ | 30年ぶりの『たそがれの女心』 »

2021年6月15日 (火)

パンを買う女たち

「パンを買う女たち」と書いたら、村上春樹の短編の題名のようだと思った。せっせとパンを買う女たちを不思議そうに観察する「僕」のちょっと上から目線の感じが、何となく彼の小説の主人公を思わせる。そんなことを考えたのは、先日、『ドライブ・マイ・カー』の映画版の試写を見たからだろうか。

濱口竜介監督による映画については7月のカンヌの頃に書くつもりだが、今日はパン屋の光景について気になることを書く。私はたぶん週に2、3回はパンを買う。夕食でワインを飲む時は、当然ご飯よりパンの方がいい。それもクルミや干しブドウなどが入ったものが赤ワインに合う。もちろん甘いパンはダメ。

大学に近い池袋駅にはパン屋がたくさんあるが、よく買うのは「メゾン・カイザー」「ル・ビアン」「ドンク」あたりか。自宅近くだと「ポール」と「リトルマーメイド」があるが、いかにも地元らしい「サン・エトワール」も素朴でいい。渋谷に出ると「ヴィロン」「ドゥー・マゴ」で、高田馬場は「サンジェルマン」。

私はそれらのパン屋で300円ほどのパンを一つ買うだけだが、見ているとほかのお客さんは1500円とか2000円を超す金額で5つも6つも買っている。パン屋の客の9割は女性だが、彼女たちはそんなに買ってどうするのだろうか、といつも不思議に思う。見てみると、甘いパンを買っている女性も多い。

もちろんOLで姉や母の夕食や翌日の朝食を買っているのかもしれないし、既婚者で子供たちの分を買っている人もいるだろう。みんなよくクロワッサンを買うので、たぶんそれは翌日用だろう。個人的にはクロワッサンは朝買って食べるものという気はするが。

それにしてもそんな大家族は今は多くないはず。ひょっとすると、たまに都心に出た時に大量に買って冷凍してから毎日解凍するのだろうか。私はしないが、パンは冷凍すると長持ちするとどこかで読んだ気がする。

総額2000円を超すパンを買う女性たちは、おおむねお洒落で生活臭が出ている人は少ない。私はお店に入るとたちどころに買うパンを決めて、一個だけトレーに乗せてレジに向かうが、女性たちは優雅にゆっくりと選んでいる。レジに並ぶと、自分の前で5、6個のパンを買う客に対して個別に包装するから時間がかかるのを私はイライラしながら見ている。

この女たちがなぜこんなにお金と時間があって、私はこんなにセコセコしているのか。パンを買う女たちを見ながら、いつも考える。

|

« 『ベル・エポックでもう一度』の俳優たち | トップページ | 30年ぶりの『たそがれの女心』 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 『ベル・エポックでもう一度』の俳優たち | トップページ | 30年ぶりの『たそがれの女心』 »