『ベル・エポックでもう一度』の俳優たち
『ベル・エポックでもう一度』の予告編で老いたダニエル・オートゥイユが出ているのを見て、久しぶりに彼の姿を見たいと思った。かつて癖のある名優として『僕と一緒にいく日か』(1988)などでおなじみだった。さて映画館で見てみると、彼以外にも懐かしい俳優がぞろぞろ出ていた。
ダニエル・オートゥイユ演じるヴィクトルの妻役は何とファニー・アルダン。かつてトリュフォーの『隣の女』(81)で忽然と現れた大柄な女優だが、その頃とあまり変わっていないのに驚いた。調べたら72歳なのに。
往年の名優と言えば、アラン・レネの後期に出ていたピエール・アルディティも懐かしかった。彼はヴィクトールが訪ねるカフェで、亡くなる直前の自分の父親と話す男の役で出てくる。またファニー・アルダンの愛人役でドゥニ・ボダリデスが出ていたのにも驚いた。彼はコメディ・フランセーズの名優で映画では脇役が多い。
それから、ヴィクトルが行くカフェなどの演出をするアントワーヌを演じるのは、ギョーム・カネでこれまた最近のフランス映画ではお馴染みの顔。一応長年フランス映画を見てきた私にとっては、俳優たちを見ているだけで楽しかった。
物語はかなり込み入っている。デジタル社会についていけず妻にも捨てられたヴィクトルは、息子から贈られた「タイムトラベルサービス」に参加する。それは息子の友人アントワーヌが経営・演出をする体験型のタイムトラベルで、行きたい時代をセットで再現してそこに行って楽しむことができるというもの。
ヴィクトルは1974年のリヨンのある一日を指定する。そこは妻と出会った日で、行きつけのカフェ「ラ・ベル・エポック」や泊まったホテルが再現されていた。老いたヴィクトルは70年代風の格好でカフェに座ると、ある若い女の子が入って来る。彼は話しかける。周りの人々もすべて70年代そのもの。アントワーヌはインカムで俳優たちに細かい指示を出す。
最初は1日だけのはずが、女の子と結ばれたいヴィクトルは延長を希望する。何日も延長してお金がなくなると、別荘も売る。複雑なのは女の子がアントワーヌの恋人で、彼らの現在の生活が1974年と混じってしまうこと。どうしても会いたいヴィクトルは女の子の自宅に行くが、それもまた演出されているし。
凝りに凝った割にはどの程度効果があったか少し疑問だが、私は十分楽しんだ。監督はニコラ・ブドスで名前を聞いたことがあると思ったら、俳優として何本も出ていた。さて、私が行きたい時代はいつだろうか。これを考え出したら、止まらなくなった。
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