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2021年7月14日 (水)

オンラインのイタリア映画祭を見る:その(2)

今年もオンラインのイタリア映画祭は、5月半ばから6月半ばまでが新作(1500円)、6月半ばから7月18日までが旧作(800円)。今回見たのはジュリオ・マンフレドニア監督の『僕たちの大地』(2014)。この監督は『人生、ここにあり!』(2008)が日本でも劇場公開されたが、なかなかの手腕の持ち主だと思った。

今回見たのは、『人生、ここにあり!』がよかったこともあるが、主演がステファノ・アッコルシとセルジオ・ルビーニというのに惹かれた。アッコルシは少なくとも私がイタリア映画祭をやっていた2000年代前半は破竹の勢いの人気スターだったし、ルビーニは80年代から俳優として活動を始めて最近は監督作品も多いベテランで、イタリア映画の顔なじみ中年おやじ2人というところ。

アッコルシ演じるフィリポは、ミラノから南部のプーリアにやってきた。そこではかつてマフィアが所有していた土地が接収され、協同組合で有機農業をするグループが立ち上がっていた。ルビーニ演じるコジモはマフィアのサンソーネの不在を預かる子分だったが、農業に詳しかったためにグループに受け入れる。

コジモ以外は素人同然の集まりだったが、コジモの指導を受けつつ何とか有機農業に取り組んでゆく。フィリポに似た人形が町中に吊り下げられる脅しはあったが、フィリポは協同組合の組合長となる。彼らが植えたトマトは何とか実をつけるがマフィアの脅迫で買い手がなくなったり、茄子は収穫直前に農薬をかけられたり。

結局、組合員にスパイがいないとありえないとわかり、みんな疑心暗鬼になるが、スパイは意外なところにいた。さらにマフィアのサンソーネが証拠不十分で出獄して自宅軟禁となったことから、地元民も変わって来る。サンソーネは村の祭で復活を誓う。

すぐに人を信じるが怖がりで慌ててばかりのフィリポと、土地を知り尽くしたコジモの組み合わせがいい。組合員たちは欠陥だらけだが、愛すべき人々。さらに地元育ちでうぶなフィリポを好きになるロサーナの暗い過去が現れる。サンソーネは見ているだけで本当に怖い。最後にはかなりドラマチックな仕掛けが用意されている。

『人生、ここにあり!』が精神障碍者の自立を助けようと七転八倒する男を描き、この映画は有機農業でマフィアと戦う男の日々を見せる。どちらも古いイタリアの因習と戦う人間を映画にした一種のプロパガンダだが、細部がしっかりしているので楽しめる。この映画では組合員のゲイ・カップルの太った方が毎日作る南イタリア料理を見ているだけで嬉しくなる。

このオンライン・イタリア映画祭は今週末までだが、もう1本見る時間はあるだろうか。

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