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2021年7月 7日 (水)

還暦になって:その(3)本をどうするのか

本を読むのが好きな者は、みんな本の置き場に苦労する。この件は前も書いた気がするが、最近切実になったのでまた書く。私の場合はいわゆる読書以外に美術と映画で仕事をしたから、両方の本が大量にある。特に美術は分厚いカタログがあって場所を取る。昔は展覧会のオープニングによく行ったので、あまり関心のない分野のカタログもたくさんもらった。

48歳の時に大学に移ったら、自宅と別に「研究室」という個室ができた。大学の金で本棚も買ってくれたので、映画関係の本やDVDをどんどん持ち込んだ。辞めた新聞社に置いていた美術関係の本を自宅に引き上げた後で、実に助かった。

さらに「個人研究費」なるものまであって驚いた。年に20~50万円ほどを「研究」のためならば、本やDVDに費やすことができた。図書館もあるが、学生のことを考えると長期の利用はしづらい。だから授業や研究に必要な本やDVDは買うことにした。

そういえば、研究室を私の前に前に使っていた方は、自分に必要な本を抜くと後はすべて部屋に残したままで出て行った。「良かれと思って」だろうが、ほとんどの本は私には不要で相当の掃除が必要だったので、「とんでもない」と思った記憶がある。

残された本を段ボールに詰めて別室に運び、古い使いにくい本棚を廃棄処分にして新しい本棚を買った。家から映画の本やDVDを持ち込み、研究費でどんどん本を買った。すると10年もしたら、天井まで一杯になった。それでも時々整理すれば、定年までの6年弱はどうにかなるだろう。

問題は家の方で、最初からほぼ満杯だったので、どんどん床に置き始めた。これがかなり危機的状況でほぼ「足の踏み場もない」に近い。5年半後に大学の研究室を追い出されると、そこの本の行き場は全くない。

どんどん原稿や本を書くタイプなら事務所を借りるだろうが、私はそうではない。ということは、今の自宅の本を最低でも半分にする必要がある。だから今から自宅の不要な本を売ったり友人にあげたり捨てたりしないといけない。

とにかく美術カタログが多すぎる。英文のものも多い。目の前の本棚に並ぶイェール大学刊のArt in Latin Americaとか大英博物館刊のAmaravatiとか、1頁も読んでいないし、今後も読むことはない。どこかに美術カタログの売買マーケットはないのだろうか。アマゾンのマーケットプレイスで売ったら、買う人はいるのだろうか。

そんなことをぼんやりと考えている。

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