還暦になって:その(5)高熱でユニクロを考える
ワクチン接種の2回目の翌日午後、高熱が出た。一番高い時で37.8度まで上がった。こうなると例えばこのブログを書こうとしても、どうも頭が働かない。風通しのよい部屋でソファに座り、雑誌を読むあたりがせいぜいになった。
DVDで映画を見ようと思ったが、見始めてすぐ止めた。映画はかなり精神の集中を必要とする。そこで気楽に見られるものはないかと考えて、国立新美術館で開催中の「ファッション イン ジャパン」展の出口にあった映像「現代ファッションの証言」を見ることにした。
せっかちな私は、展覧会で1時間近い映像を見ることはできない。この映像は展覧会では5分ほど見て、写真家で作家の都築響一さんの話がおもしろいと思ったが、出てしまった。展覧会のチラシにこの映像QRコードがあったので、暇な時に見ようと思ったことを思い出した。
やはり都築さんの発言はおもしろかった。有名ブランドの服は特別にスタイルのいいモデルが着て見せるが、一般の人々とは体形が違う。それでもブランドが好きになると買い込む。しかしどんなにお金をつぎ込んでも、もちろんファッション・ショーに呼ばれることもないし、デザイナーに会うこともない。
しかしストリート・ファッションは、自分の体形に合ったものしか着ない。自分に合うという観点でブランドを組み合わせる。来て気持ちのよいものを着る。その発想がファスト・ファッションにつながった。
デザイナーの稲葉賀恵さんは、ユニクロが出てきたのはすばらしいこと、と語った。値段は安く、着やすく、自然に着られる。その刺激を受けて自分も従来のハイ・ファッションから、もっと気軽に着られるファッションを作るようになった。
そうか、自分が最近ユニクロばかり買っているのは、そんなにヘンなことではないのか。ただ気になるのは、中国やベトナムやカンボジアで作られていること。前にスイス生まれの監督が中国で撮ったドキュメンタリー『女工哀歌(エレジー)』(2007)があった。10代前半の女の子たちが工場に隣接した寮に住み、食事はわずか数分で朝早くから夜遅くまで働かされる。
彼女たちが作ったジーンズはアメリカのウォルマートのプライベート・ブランドとして売られていた。ユニクロや無印にもそんな現場があるのではないか。ワクチン接種の高熱の中で、そんな光景を思い浮かべているうちに眠ってしまった。
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