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2021年8月 4日 (水)

真夏の鎌倉へ

久しぶりに鎌倉へ行った。昔はよく来日した映画関係者と行ったが、この5、6年は足を運んでいない。行った理由は鎌倉市川喜多記念映画記念館の企画展「映画祭のすゝめ ぐるりポスターの旅」を見るため。私はこの展覧会のために国際映画祭をめぐる短文を頼まれており、それがどこかの隅に展示されているはずだった。

展示自体は副題の「ポスターの旅」の通り、大判のポスターが中心。カンヌ、ベネチア、ベルリンの三大映画祭を中心に、モスクワ、ロカルノ、ロッテルダム、香港など各地のものが並ぶ。

圧巻だったのは、この記念館に住んでいた川喜多長政・かし子夫妻の各地での写真で、黒澤明や仲代達矢、大島渚、高峰秀子など日本の映画人と一緒の写真もあれば、チャップリン、ヴィスコンティ、アントニオーニ、デヴィッド・リーン、コクトー、コッポラなどとの写真もある。

彼らのような存在は、その後は彼らの娘の川喜多和子さんやその夫の柴田駿さん、そして今年のカンヌでその存在が際立ったユーロスペースの堀越謙三さんや亡くなった吉武美知子さんに引き継がれているのかもしれない。次の世代だと東京国際映画祭のディレクターになった市山尚三さんとビターズ・エンドの定井勇人さんあたりか。いずれにせよ、川喜多夫妻に比べたらどんどん地味になった。

それにしても行ったことのない映画祭が多いものだと思う。50くらいの映画祭が紹介されていたが、私が行ったことがあるのは三大映画祭のほかは、山形、ロカルノ、香港、サン・セバスチャン、ローマ、エジンバラ、アムステルダムとニヨン(この2つはドキュメンタリー)、ボローニャ(復元)、ポルデノーネ(無声)くらいか。それも多くは数日のみ。

私の映画祭をめぐるエッセーは、朝日の石飛徳樹記者と日経の古賀重樹記者のものと並んで展示されていた。みんな文章がうまいので、もっと考えて書けばよかったと後悔した。黒沢清監督の文章はおかしかった。初カンヌでホテルの予約ができていなかったのを、仏語の堪能な香川照之さんがすぐに解決してくれたという話。

ライターの中山治美さんが提供した、カンヌの10数年分のポラロイド写真とサインや各地の映画祭のバッグなどの展示もよかった。無料でもらうビニールバッグまできちんと保存しているとはさすが中山さん。

その後は近くの鎌倉市鏑木清方記念美術館に行った。どちらも自宅を改装した小さな空間だが、それだけに優雅な空気が流れていた。真夏の鎌倉行きは、都心では味わえない贅沢なひと時だった。

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