『日本映画作品大事典』について:その(1)
この6月10日に三省堂から出た『日本映画作品大事典』は千ページを超す分厚い事典。税込みで41,800円、来年以降は47,300円になるが、山根貞男さんの監修だし、映画研究者の端くれとしては、買わないわけにはいかない。
先日、この事典を作った当事者たちのトークがあったので聴きに行った。私の記憶では、2000年頃に国書刊行会で『世界映画大事典』の企画が立ち上がった頃、三省堂が山根貞男さんを中心に日本映画の全作品を載せる事典を作っていると聞いていた。『世界映画大事典』は岩本憲児氏を中心として主として研究者たちが執筆し、2008年に出た。
私は日本映画の方はもう出ないと思っていた。一番の理由は、三省堂のように辞書や事典の専門の会社は、映画のような基礎データがいい加減な分野には向かない気がしたから。ところが3月くらいに忽然と告知が出て驚いた。
トークは監修の山根さん、事典のデザインを手掛けた鈴木一誌さん、三省堂編集者(と書いてあるが、実は現社長)の瀧本多加志さんの3人で、前半は中身について鈴木さんが聞き、後半はデザインについて山根さんが聞いた。
一番驚いたのはこれが山根さんの発案ではなく、三省堂の編集者が企画したということ。福島さんという編集者が1998年にまず鈴木さんにコンタクトしたという。福島さんはその後異動になって担当を外れたが、トークの終わりで紹介された時に、「鈴木さんに持ち掛けた時には、山根さんというアイデアはあった」
1999年1月に社長決裁が下りるが、その時の社内文書では2002年3月の刊行予定と書かれていると瀧本さん。彼の説明によれば、最初の5年がルール作り、次の5年が原稿依頼。2010年頃に原稿の8割(これは後半に5,6割と訂正)が集まり、校閲に10年。ラストスパートに2年で、計22年かかった。
事典なので、「主観性」は入れない。例えば「公開当時高く評価された」はいいが、筆者の意見として「傑作」とか「代表作」とか書いてはいけない。その形で直しを入れて筆者に戻すと「では書かない」とか「自分の名前は出せない」などが続出した。どうしても、書かない、書けない場合には別の筆者を当たる。
「作品事典」だから最初の議論では監督別ではなく、作品のアイウエオ順という考えも出たという。しかしシリーズものでも題名の冒頭の言葉が変わることもあるため、監督別にした。監督はABCDEの5ランクに分けて文章の長さを決め、途中でEランクを加えた。今日はここまで。
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