« 『燃えよ剣』を楽しむ | トップページ | 還暦になって:その(13) »

2021年10月31日 (日)

東京国際映画祭はどう変わったのか:その(2)

その(1)に書いたように、4、5年前から東京国際映画祭のオープニングの招待状が来なくなったが、今年は久しぶりに来たので行ってみた。セレモニーは一言で言えば、かつてに比べてすっきりとなった。司会は前の笠井伸輔氏がアカデミー賞の授賞式のようなノリだったのが、中井美穂さんの落ち着いた調子でよかった。

但し、中身についてはまだまだ旧来型をずいぶん引きずっていた。最初にチェアマンの安藤裕康氏の挨拶。17年ぶりに場所を六本木から日比谷・有楽町・銀座地区に移し、同じく17年続けたディレクターが市山尚三さんに代わったことを述べ「新しい酒は新しい革袋に盛れ」と聖書の言葉で締めくくったのはよかった。

ところがその次に岸田首相のビデオメッセージはよくなかった。去年は知らないが、従来は首相や経産大臣が挨拶をしていた。そんな国際映画祭は海外ではないので嫌だなと思っていたが、今回も引き継いだ。総理秘書官をやった安藤チェアマンだから、そこは難しいかも。カタログにも従来通り、首相や大臣や都知事の顔写真やメッセージが今年も並んだ。

それから来日したカンヌ、ベルリン、トライベッカの映画祭のディレクター3人のシンポの紹介に始まって、各部門の説明があったが、これは長すぎ。そして最後にイザベル・ユペール委員長を始めとした審査員の紹介。彼女の「We need cinema. Cinema needs us」はよかった。

一番欠けていたのは、市山尚三ディレクターの紹介というか挨拶だろう。17年間続けた矢田部氏の時と違って初めて全体を統括したわけだし、コンペの方向をガラリと変えてセクションの再編までしたわけだから、それを語る必要があった。各部門の説明はパンフを見ればわかるので、コンペ以外はあんなに細かく説明の必要がなかった。

そういえば、冒頭10分は女性だけの楽団によるミュージカルをテーマにした生演奏があった。これはなかなか手作り感があってよかった。全部で50分だったが、30分で十分だろう。とりあえずセレモニーは改善の余地ありだが、従来よりはよくなった。

その後のクリント・イーストウッドの『クライ・マッチョ』は何というか、時間が経って澄んできた古いワインを飲むような快感があった。一筆書きというのか、無理なく淡々と老人(今年91歳の監督が演じている!)と少年の交流を描き、ロマンスも加える。長く生きた者の智恵とは何かを教えてくれた。1月公開の時にもう一度見たい。

 

 

|

« 『燃えよ剣』を楽しむ | トップページ | 還暦になって:その(13) »

「映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 『燃えよ剣』を楽しむ | トップページ | 還暦になって:その(13) »