衆院選の結果をどう見るか
東京国際映画祭でバタバタしているうちに衆院選が終わっていた。一言で言えば、自民党はなんとか持ちこたえ、立憲民主党は数を減らした。維新や国民民主党の自民寄りの2政党は数を伸ばした。この結果をめぐっていろいろな分析が新聞やネットで見られた。
その中で一番ショッキングだったのは、「日経」のネットで読んだ「チャートは語る feat.衆院選」(無料登録で読める)で、自民党支持者は40台未満に最も多いということだった。かねがね若者は保守的だと言われてきたが、共同通信の出口調査の結果を使って年齢別に調べると、40代未満だけならば、自民党が実際に獲得した261議席を34上回る295議席になるという。
40代と50代だと254議席で60代以上だと223議席になる。つまり年齢が増すほど自民党政権に不満が増している。私はこれを読んで映画の観客を考えた。今、作家性の強い歯ごたえのある映画を見にいくと、40代以上ばかり。若者は本当にパラパラで、彼らはシネコンのアニメか『花束みたいな恋をした』のような映画に集まる。
男女差もおもしろい。男性だと262議席で実際に近いが、女性だと230議席となる。地域別も興味深い。都道府県別に自民の比例代表の得票率を2017年衆院選と比べると、長野、高知、秋田、山形、福島の各県が6ポイントを超す伸びをみせている。みんな農業県だ。
つまり、自民党支持者は地方の若い男性に一番多い。逆に都会の40代以上の女性は一番自民党を支持していない。確かに東京で生きていると、リッチで豪華な世界の中で苦しい生活をしている人が多いと思う。格差はコロナ禍でさらに広がった。女性は仕事を始めとして多くの点で損をするように社会ができているからなおさらだろう。
地方で家や畑がある男性は、今のままで何とか生きていける。出口調査に年収別がないのは残念だが(できないか)、あったら都会の高額所得者(主に男性)は累進課税を抑える自民党を支持する事実が出てくるのでは。つまり田舎の土地持ちと都会の金持ちの男性が支持するのが自民党。
いずれにせよ若者がはっきりと自民党を支持するということは、今後はおそらく政権交代は起こらないことを意味する。2009年に当時の民主党が自民党から政権を奪ったようなことは、もうこれからはありえないかも。自民党を批判する「朝日」や「毎日」はさらに部数を大幅に減らし、「読売」や「産経」の減りは少ないだろう。日本にはさらなる格差社会が訪れるが、誰もそれに疑問を持たないようになる。
「古くさい」私は、それを嘆きながら死んでゆくだろう。
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