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2021年11月 3日 (水)

還暦になって:その(14)1日に何本映画を見るか

東京国際映画祭が始まって、1日に何本も映画を見る生活が続いている。2年前までは秋になると9月初旬のベネチアに始まって、東京国際映画祭、東京フィルメックスと続き、2年に1度は東京の前に山形国際ドキュメンタリー映画祭まで行っていたのだから、信じられない。

1985年に初めてカンヌ国際映画祭に参加した時、1日に6、7本見ていた。朝9時に始まって、遅い時は夜11時から始まる上映を見ていたのだから我ながらすごい。その時会った『カイエ・デュ・シネマ』の40代の評論家が「4本が限度」と言ったのを「そんなものか」と思った記憶がある。

私が2016年に31年ぶりにカンヌに行った時は夜7時の回を見て、日本人の関係者と夕食を取るのが普通だった。朝9時からだいたい2、3本で、多い時が4本。記事を書くためならコンペと日本映画と話題作数本でだいたい十分で、後は楽しみたい。もはや「未知の映画」を追いかけるのは楽しみよりも苦痛に近くなってきた。

映画祭以外の時は、大学に移ってからは1日に2本見ることはなくなった。やはり1本の映画を見た後は、半日くらいゆっくり考えたい。一晩寝て翌朝になると、結局どこがよかったか明らかになってくる気がする。そしてブログに書く。試写で公開が先のものは、見た翌朝書いて保存しておく。

おもしろいもので、本や美術展については1週間たってからも書けるが、映画はなぜかどんどん忘れてゆく。特に別の映画を見てしまったらもうダメで、感動も印象もストーリーも、あれよあれよと雲散霧消してゆく。

さて還暦を迎えた私は映画祭では1日に何本見るか。とりあえず今年の東京国際映画祭は3本を限度にしている。夜は19時以降に始まる回は見ない。そもそも22時に寝るのに、映画が21時に終わったらよく眠れないので翌日に響く。今年は会期の半分が学園祭と重なったので楽だが、進学相談などの義務もある。

午前中に授業や進学相談をして1時間後の上映に間に合うのは至難の業。駅から走って5分前に駆け込み、買っておいたコンビニのサンドイッチを食べるのは、若い頃ならいざ知らず、還暦の自分にはどうかと思う。

プレスと業界向けの会場、シネスイッチ銀座から歩いて1分の「よもだそば」という蕎麦屋を友人に教えてもらった。形は立ち食いそばに近いが、ちゃんと椅子もある。天ぷらなどは揚げたてで、カレーは何とインド風でうまい。入店して10分で食べ終わる「早い、安い、うまい」店。そこに座って食べていたら同世代の新聞記者と会って、お互いに苦笑い。

「映画祭通い」はいつまで続くのか。ベネチアや山形だとほかのことは何もしなくていいホテル住まいなのでまだ行きたいと思うが、東京ではどうだろうか。来年からは「見たい」と思った映画だけを見るようになるかもしれない。

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