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2021年12月11日 (土)

マスクに慣れると

まさかマスクをつけることに慣れるとは思わなかった。学生の映画祭でトークをした時に、全く無意識にマスクをしたまま20分話した。去年は当然のように外して、用意してあったフェイスシールドを付けたが、今回は普通にマスクにしたままだった。

それに気づいたのは、私の後に外部の方がトークで「最前列の席は空けてあるので、マスクは外しますね」と言ったから。人前で話すのにマスクを外すのは礼儀だったとその時思った。コロナ禍の前から、いつもマスクをしている人がいた。花粉症とか理由はいろいろだが、大学で発表する学生がマスクをしたままだと、私は「発表の時にはマスクを外してください」と言うことにしていた。

ある女子学生は入学した時からいつもマスクをしていた。東北大震災の直後に入学した学生だったと思うが、理由を聞くと「両親から放射能汚染が怖いから常時マスクをつけるように言われた」と言い、家族全員がマスクをつけていると語った。教員はできるだけ家族の事情には深入りしない方がいいので、人前で話す時ははずすよう指示しただけだった。

ところが今では自分がマスクを外すことさえ忘れている。それには理由はいくつかあって、一つはマスクをした状態に自分が慣れたこと。マスクをしたままスポーツジムのランニングマシンで走っているくらいだから、もう何でもできてしまう。昔はありえないと思ったのに。やはりこの2年近くの習慣だろう。

もう1つは、マスクをしている方が、気分的にラクなこと。二日酔いで寝不足の顔でも、髭を剃っていなくても、マスクでどうにかカバーできてしまう。ちょっとコンビニに出かける時などはかえってラクだと思うこともある。それでも私は研究室ではマスクを外し、誰か訪ねてきたらマスクをつける。さすがに一人で個室にいると、ない方がいい。

ネットで見たが、あるアンケート調査によればコロナ禍が終わってもマスクを続けたいという人が3割いたという。もともと日本はマスクが多いのが海外からも異常視されていたが、それはさらに強まるのではないか。それに今回のコロナ禍は、どんどん新しい変異種が出てきて、「終わった」感じがしない。感染者数のゼロが一月くらい続かないと信じられない気がする。

かくして、日本はマスク社会になる。オンライン授業でも顔出しを拒む学生が多い。何度言っても「通信状態」などを理由に顔を出さない。100人を超す授業だと、お願いしてもまず半分以上は出さない。単に顔を出さないと何をしていてもバレないということなのか、顔出しそのものが嫌なのか。

よく学生がオンライン授業ばかりでかわいそう、という声がある。実際は大人数の授業だと「なるべく対面で受けるように」と指示しても、オンラインも可能だと大学に来て受ける学生は1/4もいない。多くはオンラインがラクだし、体質的に好きなのだ。

スマホの普及で直接的なコンタクトを避けてネットばかりのコミュニケーションになる。それにコロナ禍のマスク着用が拍車をかける。人々はリアルではなく、ネット上での戦いに疲弊してゆく。今後日本はそんな社会になるのだろう。

 

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