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2021年12月 6日 (月)

映画祭をやりながら映画を見る:その(1)

自分で映画祭を主催しながら、自分も観客に交じって映画を見る。かつて15年ほどそんな仕事をしていた。1年ほど前から準備して、ジャン・ルノワールやハワード・ホークスやカール・ドライヤーなどの全作品を何カ月もかけて上映した。自分は会場への立ち合いと称して、空いた席に座っったり、通路に座ったりしながら一緒に見た。

映画は映写技師が上映してくれるから安心、ではない。35㎜フィルムは途中で切れることもあるし、ブルーレイやDCPは途中で止まってしまうこともある。100回に1回くらいだけれど、そんな時の観客対応も仕事。ヴィスコンティの『若者のすべて』で35㎜を上映した時、終盤の30分でなぜか音と映像がずれたこともあった。

謝ってすますか、チケットを払い戻すか、次に使えるチケットを渡すか、瞬時に判断をしてマイク放送原稿を書いた。そして上映が終わるとひたすら頭を下げた。そうでなくても、上映中にヘンな観客がいたり、観客同士で怒鳴り合いが始まったり。ある時は相手を殴り始めたので、最終的に丸の内署に来てもらったこともある。

12月4日から始まった私の学生企画の「ジェンダー・ギャップ映画祭」は映画館での上映なので、基本は劇場に任せておけば大丈夫。それでも去年は2度上映トラブルがあったので、今年はDVDなどのバックアップ素材を配給会社が送ってこない場合はこちらで用意することにした。さらに劇場側の人数が減る夜の上映には必ず教員が立ち会うことにした。

2日間の上映が終わって、今のところ問題はない。それでも、売れ残った席で映画を見ていると、落ち着かない。上映前に学生による短い前説がよくないとか、上映後のトークの準備が遅いとかの教師としての小言もあるし、トークゲストは無事到着したかなどの心配もする。

それ以上に映画そのものが観客にどう見られているか気になる。映画は暗い中で黙って見るのに、小さな笑いとか安堵とか「おおっ」「えっ」という声とかがよく起こる。映画祭だと上映後の拍手もある。そして上映後はロビーで「ありがとうございました」と頭を下げる。大学の教え子や同僚も来るし、昔の知り合いもいる。

とりあえず、2日間で強く印象に残ったのは、1935年の中国映画『新女性』の弁士と生演奏付き上映と日本のウーマンリブの草分けである田中美津さんを撮った『この星は、私の星じゃない』。後者は田中さんのトーク付きで圧巻だった。その中身については後日書く。映画祭は渋谷のユーロスペースで10日まで。

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