還暦になって:その(26)旅と宴会
コロナ禍が始まったのが2020年の正月明けだから、ちょうど2年になる。この間に私は還暦になったが、この2年で一番の違いは宴会と旅行がなくなったこと。この2つは映画を除くと私の2大娯楽だったが、先日小説家の角田光代さんが似たようなことを「朝日」に書いていた。
「パンデミックによって制限されたもののうち、旅と宴会は二大巨頭だが、じつはそのどちらも、私の数少ない趣味であり、大げさに表現するならば生きがいでもあった」
「移動せず、家で飲むことが長引くと、その状態にだんだん慣れてくる。ほんの1年前まで、1年に何十回も国内外に仕事の出張や休暇の旅行をしていたのも、遅いときは午前2時、3時まで友人たちと飲んでいたのも、信じられなくなってくる。よくそんな体力があったものだと感心してしまう」
「しかしながら、よくよく鑑みるに、世のなかの風潮として、旅も宴会もパンデミック前から不人気ではあった。私が若者だったころから比べると、酒もしくは酒の場が好きな若者はうんと減っているし、海外旅行をする人も減っていた」
つまりは、旅も宴会もコロナ禍前からだんだん世の中の主流ではなくなっていた。やはり自分は時代遅れ、古くさい。宴会とは本当に不思議で、やる前はいつも楽しみだが、終わってみると疲れしか残らない。最近だと話した内容さえも、酔っぱらって大半は忘れている。
この2年、一度も風邪をひかず、体調がすこぶるいいのは、宴会がないからに違いない。12月は感染者も少なかったので何度か宴会をやったが、やはり疲れた。翌日の授業はかなり苦しいが、いつもと同じ顔つきでやる。それでも週に1度くらいならば、大丈夫。
たぶん飲み会がなければ授業は十分に準備できるし、原稿を書く時間も増える。それ以前に体の調子がよくなるわけだからいいことずくめなのに、なぜか飲み会を止められない。それは「飲んだら楽しいぞ」という幻想に過ぎないのだが、誘われると断れないし、自分でもよく誘う。
旅行はあまりしないが、学会の出張とか山形のドキュメンタリー映画祭とかもなくなった。母も3年ほど前に亡くなったので、実家に帰ることも少なくなった。夏の終りのベネチア、パリもさすがに今だと大学から許可が出ない。2019年9月から海外には2年半も海外に行っていない。
海外に行くと刺激は多いけど、面倒でもある。まず準備でそれなりに雑用ができる。宿やチケットを予約したり、友人に連絡したり。服やおみやげを買ったり、帰国直後の準備をしたり。出発前の1週間と帰国後の1週間は、何となくバタバタになってしまう。それでも夏休みが終わりに近づくと、ベネチアに生きたくなる。
飲み会は個人の判断でできるが、旅行はなかなかそうはいかない。別に欲求不満というほどはないが、やはり時々は新幹線や飛行機に乗りたい。
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