不思議なスポーツジム
近所のスポーツジムにもう30年は通っている。経営母体が変わり、システムもいろいろ変わったが、相変わらず週に1度くらい通っている。実は昔から不思議に思うことが多い。まずは通ってくる人にヘンな人が多い。
更衣室でシャワーから体を拭かずに出てきて床を濡らす人、床の上に衣服を並べて思い切りスペースを取る人、なぜか一生懸命に髪をセットしている人など。スポーツジムに通う多くは、勤務する会社が福利厚生で加入しているため安く通えるからだと思うのだが(私もそうだった)、来る人々を見るとまともな勤め人にはとても思えない。
会社の先輩、後輩などが偶然会うシーンもよく見る。お互いに相手の様子を見ながら無理に明るく話している。「今、あの人はどこの部署だったかな」と思い出している感じは、元会社員の私はよくわかるが。なぜか施設の掃除のおじさんと妙に仲のいい若者も多い。だから脱衣室は異様に明るくて、私は苦手だ。
コロナ禍だとさらにヘンになる。ジムのマシンを使う前に消毒液をかけて丁寧に5分は磨く人がいる。5分運動して、また5分消毒する。ここに書いた西村秀一氏の本を読めば、マシンを介してうつるのは手を舐めでもしない限りないとわかるのだが。あるいは、あちこちに置いてある消毒液の瓶に触れる方がマシン自体よりも危ない気がする。
プールでは当然マスクなしだが、プールやジャグジーで大声で話す人がいる。これはかなり危険な気がする。係の人に注意してくれと頼んでも、「わかりました」と言った後にじっと様子を見ている。とにかくトラブルを避けるために何もしない。結局、そういう大声おじさん、おばさんの近くに寄らないしかない。
スポーツジムは誰とも話さず、黙々とマシンに向かって手足を動かし、そして走る。そしてプールでもじっと泳ぎ、疲れたら歩く。この沈黙と肉体的運動の組み合わせが、日頃の「話す」+「体を動かさない」の日常から解き放ってくれる。これが健康にいいかわからないが、精神衛生上は間違いなくいい。
その大事な時間を妨げる人が多い。とにかく普段会うことのない人々だ。その意味では、「普通の人々」と会う貴重な機会だと思って我慢している。もっと高い金を払ってホテルのスポーツジムに行けば、違うのだろうか。
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