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2022年4月14日 (木)

「日本の映画館」展に興奮する

国立映画アーカイブで始まったばかりの「日本の映画館」展を見た。映画は演劇と違って複製芸術なので、世界中どこの映画館で上映しても全く同じ作品を見ることができる。だから映画館とはある種の謎のブラックボックスだけど、それでも映画館自体の魅力は確実にある。

展覧会の最初にあったのが、1897年5月のエジソンのヴァイタスコープを神田錦輝館で見せた時の「活動大写真」と銘打った引札。引札とは江戸時代に始まった芝居や商店のチラシで、芝居の場面や商品が鮮やかなカラーで刷られたものも多い。この引札の伝統があったので、日本では映画のチラシを作るのが通例となったのだろう。

海外ではポスターはあってもチラシはない。ついでに言うと販売するパンフレット(プログラム)もないが、日本では早い時期に劇場ごとのプログラムが定着する。展覧会には初期のもので、1917年の帝国館の「第一新聞」第55号や19年の電気館の「NEWS DENKIKAN」No.45、21年の千代田館「The Chiyoda Weekly」第73号)などの展示がある。

これらの映画館があったのは浅草六区で、この展覧会には「六区活動写真街模型」が展示されていた。思わずスマホで写真に撮ったが、帝国館、富士館、三友館、大勝館、世界館と並び、反対側は電気館、千代田館、オペラ館と並んでいて壮観だ。この展覧会のために作ったのかと思ったが、江戸東京博物館の所蔵だった。

その模型でも一部が再現されているが、どれも建物が壮麗だ。模型のそばにいくつも写真があって驚く。感じとしては、1933年建設で今も残っている日本橋高島屋に近いかもしれない。1910年代に映画館は最新流行の場所だったのだろう。今はシネコンだから映画館の建物はない。それ以前も戦後はビルの一部であることが増えて、映画館だけの建物は都市では少ない。

1923年9月に関東大震災が起こるが、その後の帝国館の復興開館チラシが泣かせる。「充分なる浅草の復興気分を味はんとする者は/先づー先づ 帝國館に来れ‼」。また大阪や神戸などの映画館のチラシや写真や絵葉書もある。映画館が絵葉書になるとは、それだけカッコよかったからだろう。

1920年代になると、ポスターも格段にお洒落になり、プログラムもだんだん厚くなる。神田日活館、溜池葵館、新宿帝都座、そして今もある新宿武蔵野館も登場する。1930年代になると帝国劇場、日本劇場なども出てくる。「日劇」はつい最近までマリオンにあったが、日比谷にシネコンができてなくなってしまった。

この展覧会はそれから戦時中、戦後、そして名画座やミニシアターまで続くが、私の関心はだんだん薄れていった。80年代以降のミニシアターは、各館の第一号のパンフが展示されていたが。出品リストを見ると、全部で300点を超す。これはぜひカタログを作って欲しい。それがあれば私は何時間でも見ているだろう。7月17日までなので、何度か通いたい。

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