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2022年5月18日 (水)

久しぶりに現美に行く

東京都現代美術館は昔、何度か展覧会をやった美術館だが、久しぶりに行った。今は企画展が建築家の吉阪隆正展と映画美術の井上泰幸展で、いわゆる美術の展覧会ではない。映画を教えている以上少なくとも井上泰幸展は見ようと出かけたが、どれもおもしろかった。

吉阪隆正という建築家の名前は実は「聞いたことはあるが何を作ったっけ」という感じだった。ところが行ってみて驚いたのは、私が個人的に記憶に残っている建物をいくつも作っていたこと。

まず、ベネチア・ビエンナーレの日本館(1956年建設)がある。ここには隔年のビエンナーレのたびに行っているし、映画祭に行く年は建築展の時でも行く。だから四角いコンクリートが真ん中の大きな柱に乗っかったあの建物での展示は20回以上見ている。天井はガラスで床には穴が開いて地上に繋がっている。

だけで全体としては妙に人間味がある建物だ。あれだけ建物が主張をしていると、さぞ展示は難しかろうといつも思う。近くのドイツ館やフランス館やロシア館や英国館に比べて狭いのは問題だが、建物としてはピカ一ではないか。まわりの館の威圧感の帝国主義的な建物に比べて威張っていないのがいい。

無意識のうちに似ているなと思っていたアネテ・フランセ(1962年)もそうだった。あれは濃いピンクと言うか紫に近い箱が斜面に乗っかっている。4階にあるアテネ・フランセ文化センターに映画を見るために昔はよく通ったが、かつてはエレベーターがなかった。あの建物は地下のカフェの窓側がガラス張りで気持ちがいい。

東京のど真ん中にあって、あの異国風の箱は時間がたつほどいい感じになってきた。その近くにあった日仏会館もこの建築家の建物だったとこの展覧会でわかった。図書館を使うために何度か行ったが、これまたモダン建築だったがあまり記憶にない。こちらは恵比寿に移って今はない(はず)。

八王子の大学セミナーハウス(1965年)は1度しか行っていないが、記憶に残るものだった。山の斜面に小さな箱がいくつも建っている。宿泊棟もセミナー棟も食堂もホールもいくつもの箱に分かれていて、木々が茂った外を歩くのが楽しかった。行ったのは大学3年生の時で、ラジオ仏語講座で有名な福井芳男先生が開く1週間の仏語研修に行った。展覧会にはこの森全体が巨大な模型で再現されている。

さて展覧会は、通常の建築展のように図面、模型、写真の3点セットだけでなく、壁に彼のデッサンや言葉を散りばめて、楽しく見られる形になっていた。新大久保にあった彼の自邸も再現されていて、全体としてコンクリートと自然を融合させた彼の楽しい建築がよくわかる展覧会だった。6月19日まで。井上泰幸展などについては後日書く。

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コメント

今日見てきました。吉阪展の後半の山小屋の展示のうち、八本の丸太で支える円形の山小屋「黒沢池ヒュッテ」の巨大な構造模型を作ったのは、浜田山の拙宅を造ってくれた大工さんです。
日仏会館にかつてあった階段の手すりは、アテネフランセや大学セミナーハウスの手すりと同じデザインです。アテネの上映待ちで並んでいる時にもたれかかるのにちょうどよかった。腰の感触が覚えています。まさに吉阪的な触覚。

投稿: 古賀重樹 | 2022年5月20日 (金) 22時11分

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